島と引換にして良い人の命などない。


  政府は尖閣諸島の国有化を決めた。愚か極まりない。国有化の目的は中国に対し権利を主張する為以外のものではない。しかし中国は私有地としての島の所有者の権利も認めていないのだから政府が購入し国有化しても中国に対する何の説得にもならないことは初めから分かっている。単に相手の感情を逆なでしただけ。世界が見る中で相手の国と真摯に粘り強く話し合うことが正道。
 この島が中国のものであろうが日本のものであろうが一般国民の生活には全く関わりがない。漁業については交渉して操業の協定を結べばよいだけ。地下資源はどうするのかは交渉する。

 領土問題は常に戦争の危険性をはらんでいる。どの国も感情的になりやすい。排他的になりエゴになる。その結果一般国民には何も良いことは起きない。愚かな行動の前に軍事衝突が起き、たとえ少数でも犠牲者が出たら・・・・。「相手になめられるな」・・・か? フォークランド紛争では900人以上が死んだ。その何倍もの家族が涙にくれた。政府にしても石原都知事にしても犠牲者に対する責任の取りようなどない。


 東日本大震災のとき多くの国が災害地で救援活動をした。日本も四川省の震災の時人を送った。お互いに感謝した。この時の助け合う心の先にはお互いの幸せがある。領土の取り合い、ナショナリズムの先には涙にくれる家族しかいない。

 忘れてはならない。権力はナショナリズムをあおることで自分たちの延命を図ろうとする。戦争が起き、あるいは起きそうになることで得をするのは企業である。そのことで利益を得るのはいわゆる軍事産業だけではない。企業と官僚、政治家は繋がっている。彼らは時として国民の生命より自分たちの利益を優先する。

 歴史の中で繰り返されたこの事実を忘れるな。 国民は愚かであってはならない。災害の時のお互いに助け合った崇高な心を忘れるな。

 憎しみは人を幸せにしない。幸せにするのは愛である。



2012.9.11


中国の漁船が尖閣に近付いていることについて石原都知事の発言。「体当りして追い払えばいいだけ。」 彼は軍事衝突も辞さずと言っているのだ。彼にとっては島の方が人命より大切らしい。すでに日本企業が焼き討ちにあい損害が発生している。けが人も出たそうだ。その責任も感じないらしい。被害者は加害者だけではなく原因を作った日本政府や石原都知事にも損害賠償請求すべきだろう。彼の言い分は「愛国無罪」か?

 尖閣の国有化というおろかな「外交」をしなければこれらの損害も、これから起きうる最悪軍事衝突というリスクも発生しなかった。
この当たり前のことをマスコミはほとんど言っていない。怯えている。「尖閣諸島は日本固有の領土」と踏み絵のように唱える。日本マスコミの真価が問われるこの瞬間にそのレベルを暴露していると言わざるをえない。

 この愚行の真の狙いは憲法9条の改悪。軍拡、軍事大国への道だろう。「やっぱり強い軍隊がないと相手になめられる」という世論を作ろうとしている。強い軍隊を作って、原爆も持って、戦争になったらお互い相手の原発を攻撃して、人間が住めない地球を作るのがその終着点。「仲良くすればいいじゃないか」この原点に戻ろうではないか。

2012.9.20