録音を聞く

甲第1号証

2002年沖電気工業株式会社株主総会における原告の発言と沖電気による暴力排除にいたる録音の反訳

 以下は原告本人が録取したものを極力正確に反訳したものである。
 「篠塚社長」「篠塚」は沖電気工業株式会社社長篠塚勝正である。「田中」は原告である。「株主」は原告以外の複数の株主である。

説明を容易にする為に発言者の前に通し番号を付した。

 この反訳によって証明出来ることは以下の通りである。

@ 原告は具体的な例を挙げて被告会社における職場の人権侵害を指摘する発言を行った。番号2 より28まで。

A 原告は株主総会に置いて株主に敵対する議事運営が行われていることの指摘を行った。番号32から40

B 原告は株主総会の集中日に総会を開くべきではないという発言を行った。番号52

C 上記原告の発言中に会社は原告のマイクの電源を切った。番号60 から62

D 原告は裁決を取る際、単純多数決ではなく、持ち株数を確認することを求めた。番号72

E 原告は総会の招集通知を現在より早い時期に出すこと、議事録の閲覧の際コピーを認めることを求める発言を行った。番号76

F 社長篠塚は計算書類、監査などの手続により総会の期日がきまるのであり、意図的に株主総会集中日を選んでいるのではないという答弁を行った。 番号79

G 社長篠塚は招集通知を早期に出すつもりのないこと、議事録のコピーを認めるつもりのないことの答弁を行った。番号81,83,85

H 社長篠塚が裁決を取らなかったので原告は裁決を求め、取らないのであればその理由を述べるよう求めた。 番号86以降

I 社長篠塚は裁決を取る必要はないと述べるのみで、その理由の説明はしなかった。
番号87以降

J 納得いかないとする原告に対し社長篠塚は退場を命じた。番号111

K 社長の命令により警備員が原告に対し暴力排除を始めたので、原告は整形外科医の診断書を示し、暴力を振るわないことを求めた。番号117

L 原告は警察官が臨席しているのであればこの暴力を止めるよう求める発声を行った。番号123

M 警備員は暴力を続け、原告の腕をねじり上げた。それを目撃した株主の一人は警備員に抗議した。警備員は原告を会場から解除した。番号126,128,130

 以上、原告が株主の権利として当然認められるべき質問を行ったことに対し、社長が誠実な回答を行わず不当な暴力排除を行ったことがあきらかになるのである。

               反訳
1 篠塚社長 次の方

2田中 聞こえますか。111番の田中です。
 最初に株主総会の運営のあり方について3点質問しまして、後ほどそれについて採決を取って頂きたいのですが、その採決の方法なんですが、商法241条には各株主は一株につき一個の議決権を有するとなっております。
いつもこの株主総会の議決を取る際、単純多数決を取っているわけですけれども、はたしてそれでいいのかと、それぞれの株主がいったい何個の議決権を持って出席しているのか確認すべきだと私は思いますが、そのことも会わせて、質問と合わせて後で問います。
 本来、私が毎回この沖電気の株主総会で指摘して改めるようにおねがいしておりますのは職場の中の人権侵害の問題です。1978年に行われました大量の首切り合理化以降、職場の中で、争議を支援する人や、あるいは会社に対して従順でないという人に対して、様々な差別が行われました。
 それらを改めよというふうに言ってきているわけです。しごとの取り上げとか賃現差別とか
(警備員が株主のビデオを取り上げようとする)

3篠塚 お静かにお願いします。

4田中 そういった事がいまだに続いているわけです。社長は

5篠塚 ちょっと待って下さい。(ビデオ撮影している人に対して)ご着席下さい。田中さんが発言中でございます。
(警備員が株主のビデオを取り上げようとする)

6株主 止めさせて下さい。

7株主 認めて下さい。

8田中 うん、どっちかにしてくれるといいね。

9篠塚 ご着席下さい。田中さんが発言中でございます。田中さんどうぞ。こちらを向いて発言して下さい。

10田中 なんだかマイクの入りが悪いな。
 と、いうことでですね、いまだに職場の中で非常に低い賃金で働かされている人や、あるいは定年間近であるにもかかわらず、また、仕事の能力があるにもかかわらず、係長にすらなった事がないという人が存在しているわけです。
 で、社長はいつも私がこういった人権侵害の実態を指摘しますと、今日も冒頭で言っていますけど、根拠がないと言っているわけです。根拠はあるわけです。例えば1991年に

11株主  いそがしいから手短にたのむわ

12田中 手短じゃないんだよ。いそがしいんなら帰っていいんだよ。人がしゃべっているのになんであなたチャチャを入れるの。帰りなさいあなた。忙しいんなら帰りなさい。

13篠塚 不規則発言はやめて下さい。

14田中 不規則発言を取り締まって欲しい。

15篠塚 田中さん発言を継続して下さい。手短にお願いします。

16田中 1991年に浦和地方裁判所で行われました仮処分、これは本庄工場の眞喜志さんという人がその同僚といっしょに起こした、仕事差別上の裁判です。仮処分の裁判ですけど、私が指摘しておりますような、職場の中において仕事の取り上げがあった、賃金上の差別があったということを、地方裁判所がはっきり認めております。
 社長は根拠がないと言っておりますが、裁判所が認めている根拠がちゃんとあるわけです。そういった事が、今でも沖電気の職場で続いている。で、こういうことはいいかげんに止めようじゃないかということを私は提案し続けてまいりました。これは単にそこで差別を受けている人が気の毒だから救済しようというだけではなくて、企業のモラルが悪いという事は働く意欲に影響します。

17篠塚 田中さん

18田中 また社会全体に対して。時間はたっていませんよ、計っていますけど。

19篠塚 本日の目的事項にあったご質問をお願いします。

20田中 目的事項に合っているかどうかを議長が判断されているようですけど、それが必ずしも正しいとは思えません。私は、当然、目的事項に合った発言を行っているつもりであります。
  
21篠塚 手短にお願いします。

22田中 時間が短ければいいという発言も非常におかしな発言であって、例えば私が1時間も2時間もここでかってな演説をしているので有れば、それは非難されてしかるべきだと思います。で、今議長が・・

23篠塚 ・・・議事進行のお願いをしているんです。

24田中 そういうお願いをされるから私が手短にまとめようとそしていても、どんどんどんどん時間が過ぎるんじゃないですか。だまって聞いていた方がいいんじゃないですか。
25篠塚 どうぞ簡単に

26田中 いいですか。

27篠塚 手短にお願いします。

28田中 私が言っておりますのは、このような差別がいまだに続くと言うことは、企業の利益にとっても良くないし、また、社会モラル、企業人として世の中の成り行きに責任を持つという、日本国民として当然の観点から見ても非常にけしからん事である。私はそういう風に思います。

29篠塚 田中さん、ご質問はこちらを向いてして下さい。演説ではございません。

30田中 どっちを向いて質問してもいいんじゃないですか。それを遮られる根拠は有るんでしょうか、法的な。

31篠塚 どうぞ、目的にあったご質問をして下さい。

32田中 ですからですね、そういうことをまず改めてもらいたいという観点で私は発言していたわけですけども、残念ながら、これまで沖電気の経営陣、社長は、これに対してまともな回答が出来ない。そればかりか、ここに出席している社員株主を除く一般の株主に対して敵対的な姿勢をとり続けてきているわけですね。
 今回警官を導入したということですけど、そのいきさつを簡単に説明しますと、昨年、まだ発言を求めている人がいるにもかかわらず、

33篠塚 田中さん

34田中 発言を一方的に打ちきって議事を終わらせようとした。それがけしからんということで、私は納得できないということを言い続けてきたわけです。それを力ずくで排除したわけですよ。

35篠塚 田中さん・・・・・マイクを返して頂きます。

36田中 だれか発言したい人がいるものを、その発言の権利を守ろうというのは当然の事だと思います。しかしそれを力ずくで排除したんですよ。そんな暴力が行われたわけですよ。
それは誰が考えても、一般の株主で有ればおかしいと思うわけです。それを指摘しているわけです。例えば、

37篠塚 質問が無いようだったらマイクを返して頂きます。

38田中 議事録の問題一つ取ってみてもですね、皆さんここで一生懸命質問しても、実際に議事録を見に行って下さい。株主はその権利が有りますから。ほとんど内容のあることは書かれていません。

39篠塚 マイクを返して下さい田中さん。

40田中 それで、所要の答弁を行ったとしか書かれていない。じゃあ今から質問を行いますからそれを採決を取って頂きたい。いいですか。まず。

41篠塚 簡潔に言って下さい。

42田中 簡単です。まず一点。

43篠塚 議事進行にご協力頂けないんだったらマイクを

44田中 議事進行に協力しておるではないか。ちゃんと聞きなさい。

45株主 ・・を制限するんですか議長。
 
46田中 株主の持っているまともな権利を何で制限するか。

47篠塚 お座り下さい。不規則発言はおやめ下さい。

48田中 まともな人間として答えなさい。あなた達は株主総会のやり方だって非常に欺瞞的じゃないか。まづ第1点いいですか。株主総会開催の期日を集中日として

49篠塚 もし・・・・であれば

50田中 質問をやってるんだ質問を。ちゃんと聞きなさい。これを採決取って欲しい。

51篠塚 議長の指示に従って下さい。

52田中 質問をやっているのを聞きなさい。株主総会の開催期日について質問しておる。あえて集中日。今日は他の株主総会をやっている会社がたくさんあるわけですが、あえて集中日にするのはどういう理由があるのか。私は前回の株主総会でもこれを指摘した。他の日にちにやるべきだ。株主が出席できないじゃないか。だからそのことについて責任

53篠塚 それがご質問ですか。

54田中 だからそれを

55篠塚 ご着席下さい。

56田中 まだまだ。3点ある。あと2点ある。

57篠塚 ご着席下さい。

58田中 あと2点あります。

59株主 マイク返しなさいよ、聞こえないよ。

60田中 あと2点有るから。スイッチが入ってないだこれ。電源切ったんでしょうこれ。あーあー。ほら。

61株主 なんだよ。ひどいことするなあ。

62田中 ひどいねこれ。電源戻せ、電源を。いいかげんなことやるな。

63篠塚 ご着席下さい。

64警備員 お座りいただけますか。

65田中 3点質問すると言っているんだからまだ2点残っているでしょう。

66篠塚 あなたはね、議長の指揮をね、ちっとも聞いていません。

67田中 3点質問があると言っている。じゃあ後の2点質問するのを保障するの。一点だけ答えてそれで終わりにしないという約束して下さい。

68篠塚 簡単にして下さい。

69田中 簡単にさっきから言ってるじゃないか。あなたが議事を混乱させているんだよ。

70篠塚 これ以上本当に。

71田中 何か私が不当なこと言ったか。何か私が不当なこと言ったか。

篠塚 私が申し上げているのは目的事項に合った質問を

72田中 株主総会開催日についての質問が目的事項に合ってないか。だから1点は、株主総会の開催日を集中日でない日にして欲しい。分かった。その事について採決を取って欲しい。その採決の際に単純多数決ではなくて、各株主が何個の議決権を持っているか確認した上でやって欲しい。分かりましたか。

73篠塚 ・・・

74田中 いや、まだ第2点があります。

75篠塚 簡単にお願いします。

76田中 はい。それから、株主総会の招集通知。これをもっと早く出して欲しい。商法では2週間前となっておりますけども、普通の人がまともに仕事をしておれば2週間前にいきなり招集日を教えられても困っちゃいますよ。ですから、少なくとも2ヶ月とか3ヶ月とか前に招集通知を出すのは当たり前である。だからそのことについて採決を取って欲しい。
そして、議事録。株主というのは株主総会の議事録を閲覧する権利があります。その議事録を見に行って頂きたいと思いますけど、まともなことは書いてないんですけども。答弁の内容は所要の答弁を行ったとしか書かれてなくて具体的な事は何も書かれてない。それにしても、その議事録を見るだけでコピーが許されない。商法には謄写が許されるという風に書かれております。謄写というのは会社の解釈では、目で見て手で書き写せと言っているわけです。今時謄写というのをですね、手で書き写すと考える会社は無い。沖電気というのはコピー機を持ってないのか、いまだに書類を手で書き写しているのか。ですから、議事録を閲覧した人にコピーをすることを許して欲しい。
 その3点をそれぞれ採決を取って頂きたいと思います。以上です。

77篠塚 ご着席下さい。ただいまの質問、一つは、株主総会が集中日にする理由がご質問の一つ。それから招集通知を早く出して欲しいというのが二つ目。三つ目議事録複写について、謄写、コピー・・・以上三つのご質問でありますが、これにつきまして採決の必要はございませんのでご回答だけ申し上げます。

78田中 採決を要求する。採決を要求する。

79篠塚 株主総会集中日でないかというご指摘でございますが、ご案内の通り決算日以降ですね、皆様方に計算書類を作成して監査をいたしまして、そして招集通知を作成する、こういった手続が当然の事ながら必要なわけでございます。こういったことを勘案して本日を決めさせて頂いているのでございますので、決して集中日云々ということはございませんので、ご理解頂きたい。

80田中 誰がそんな嘘信用するか。採決を取って下さい。これは納得いきませんよ。

81篠塚 招集通知の発送がもっと早くならないかという、2ヶ月3ヶ月前というご指摘でございますが、商法で決められているのはご案内のとおり2週間前でございます。私ども昨年からさらに1週間早めて招集通知の発送をさせて頂いております。そういう事で

82田中 あなた本当に予定が立つかよ。

83篠塚 規定どおりであるという事でご理解を頂きたいと思います。それから3つ目。3つ目は、議事録の内容のコピーについてでございますけども、書面の閲覧あるいは・・・に関しまして、商法によりまして、株主様の、に、対応する為には商法に則った方法を取っているわけでございますけども、株主さんの権利の乱用の恐れがある場合には、例え株主さんといえども

84田中 何を乱用するんだ。だから株主を敵対視していると言っているんだよ。

85篠塚 そんな事で対応をさせて頂いております。で、当社といたしましては、正当な理由がございます株主様に対しまして、書面の謄写を拒否した事実はございません。以上3点ご回答しました。

86田中 採決を取って下さい。お願いします。

87篠塚 採決の必要はございません。

88田中 なぜですか、その理由を言って下さい。特に開催期日について。

89篠塚 次の方。

90 田中 開催期日についてなぜ採決を取らないか理由を明らかにして下さい。採決を取って頂きたい。採決を取って頂きたい。

91警備員 お座り下さい。

92田中 採決を取って下さいお願いします。

93篠塚 ご着席下さい。

94田中 それは権利として主張します。採決を取って下さい。

95篠塚 ご着席下さい。

96田中 採決を取って下さい。お願いします。だめです。横暴です。なぜ必要ないのか、皆さん、普通の株主で有れば、この集中日にやって欲しいですか。そんな人が一人でもいますか。株主総会の集中日に株主総会をやって欲しい人が一人でもいますか。

97塚 マイクを渡して下さい。ご着席下さい。

98田中 だめです、採決取ってくれればすぐ進行出来るんです、採決取って下さい。採決を取って下さい。お願いします。議長、株主総会の開催期日についてなぜ

99篠塚 その必要はございません。

100田中 なぜですか。その理由を述べて下さい。

101篠塚 次の方どうぞ。

102 田中 理解できません。理解出来ません。

103株主 106番の・・・

104田中 おかしいです。採決を取って下さい。ちょっと106番の人申し訳ないけどちょっと待ってくれる。大事なことなんだから。ごめんなさい。ね。みなさんも、あなたもそうでしょう。集中日にやって欲しくないでしょう。

105株主 ・・・・

106田中 なんでだよ、何か理由を言ってみろよ。何で集中日にやって欲しいんだよ。あんた社員株主か。

107篠塚 これ以上不規則発言を

108田中 だから採決を取って
 
109篠塚 退場させます。

110田中 採決を取ってくれとお願いしているだけなんですよ、そうすればすぐ先へ進む。

111篠塚 退場。田中さん。

112田中 待ってくれと言ってるんじゃないか。おまえ社員株主じゃないのか、こら。

113篠塚 これ以上議長の言うことを聞かないんだったらご退場頂きます。

114田中 いや、だから、採決を取って頂きたいとお願いしているだけなんですよ。採決をお願いします。それがなぜダメなんですか。株主総会開催期日について採決を取って頂きたい。

115篠塚 議事進行についてご協力頂けない株主は

116田中 あまりにも、あまりにも理不尽な議事進行について、皆さんこれ、納得出来ますかこれ。納得出来ますか。

(数人の警備員が暴力排除を始める)

117田中 ちょっと待って、ちょっと待って。じゃあこれ渡す。これ渡す。これ、これ、これ、社長に渡して、これ。診断書。診断書。私、怪我しとるから。診断書。診断書。やめろ。手を出すな。
(警備員が暴力を続ける)

118田中 手を離せ、こら。手を離せ。

(株主が警備員に抗議する)

119株主 暴力は止めろ。

120株主 止めなさいよ。

121田中 手を離せ手を離せ。

122株主 何でこうやって暴力的にやらなくちゃいけないんですか。

(警備員腕をねじりながら田中を引きずり出す)

123田中 警察がいるんなら見てみろこれ。どっちが暴力ふるっているか見てみろ。あなた警察?。私が言ってること聞いたでしょ。これ診断書、診断書。ちょっと待て、待て、待て。納得いかないぞこれ。

124株主 ・・・何でだよ。

(警備員が田中の腕をねじり上げる)

125田中 手を離せと言ってるんだ。手を離せと言ってるんだこら。

126株主  ・・・たらどうするんだよ。ねじり上げるの見てたぞ。

127田中 手を離せと言ってるんだこら。

128株主 ・・・そうやってやって暴力じゃないか。そんな強制的に。さっきから見てたぞおれ、捻り込んで。

129田中 手を離せと言ってるんだ馬鹿垂れ。

130株主 それは暴力だぞ言っとくけど。

131田中 診断書出すから見せろこれ。まだ納得いかない。

(結局そのまま会場から出された)