沖電気株主総会に警察官を派遣したことに対する三田警察署への申し入れ
2002年8月16日上記の件に関して管轄である三田警察署に申し入れに行きました。
対応に出たのは暴力団対策係長新山氏。申入書を示して約30分話をしました。
その場での回答

@ 沖電気の要請により株主総会に警察官を派遣したことは間違いない。

A 沖電気の総会にはずっと以前より(2,3年以前ではなくもっと以前から)三田署から警官を派遣している。

(芝浦の本店別館での総会は昨年からで、それ以前は虎ノ門の本店。管轄は三田署ではなく愛宕署。三田署が警官を派遣するはずはない。この時点ですでに嘘をついていることが分かる)

B 担当の警察官に話を聞いていないから当日の事情は分からない。聞いて後で答える。

(私が新山氏に電話で連絡したのは8月13日。この日事情は説明したのに3日間担当の警官に聞かなかったことになる。またその場で担当を呼んで聞くこともしなかった)

C この文書は三田警察署長に見せる。

(最初は見せたくないと渋っていた)

D 文書での回答はしないことになっている。


申し入れ書

 三田警察署長様


 日本の正義と社会秩序を守るため日夜御奮闘のことと存じます。
 さて私、本年6月27日に行われた、沖電気工業株式会社の株主総会に株主として出席した者ですが、本総会についておたずねしたいことがあり、本書面を書いております。
 本株主総会において沖電気社長は「今回の株主総会では、審議が妨害された時の株主様の安全確保のため、警備員及び警察官の臨場を要請しております」と発言しましたので、貴警察署に確認しましたところ暴力団対策課新山様より、確かに警察官を沖電気工業株式会社の株主総会に派遣されたとのお答えでした。

 本株主総会において私は、「株主総会集中日に総会を開くべきではない」という提案を行い採決を要求しましたところ、社長は採決を行う必要がないと申しますので、採決を行わない理由を述べるよう要求しましたところ、社長はそれすら拒否しました。
 これは商法によって保障されている株主の権利を無視する不当な議事運営だから認められないと発言していたところ、社長は議事運営権を理由に警備員に命じて私を会場から暴力的に排除しました。

昨年の総会でも、私が「社員株主による議事打ち切り動議による閉会」を行うべきでないと主張しましたところ、会社は暴力を使って私を排除しました。
 私は今年3月、肩を負傷し、現在も整形外科に通院して治療を受けています。今回私は昨年と同じ事が起きれば危険だと予測し、医師の診断書を持参し、それを示して、暴力を行使しないよう要求しました。それでも数名の警備員は私の腕をねじ上げました。その際患部に非常な苦痛を伴い負傷も悪化しました。
 私は15年間、毎年沖電気の株主総会に出席しております。私の知る限りこれまで一度も株主による暴力や、役員の机を叩く蹴るなどの威嚇行為等は一切起きておりません。

 会社は警察官を招請される際、私が沖電気を解雇されている人間であり、沖電気の職場で人権侵害が続いている等、私が総会において毎年発言している内容は事実無根であると報告されたのではないかと推測します。
 確かに私は沖電気の職場で続いている人権侵害を労働組合の役員選挙に立候補するなどして批判する行動を続けておりました為「配転命令を拒否した」という理由で1981年に解雇され、提訴し、最高裁で敗訴しました。しかし裁判所が認定した事実は「私に出された配転命令は業務上の必要性があり、それを拒否した私に対する解雇は有効」というものにすぎません。私が毎年総会において会社に改善を要求している人権侵害の事実は、私の裁判の中で多くの証人が自ら受けた差別の体験を証言し、陳述書も提出されているものであり、裁判所はこれを否定してはいません。
 現に1991年平成3年沖電気本庄工場の真喜志(まきし)晃さんが起こした仕事差別裁判において浦和地裁は差別の存在を認める決定を下しています。
 私が改善するよう主張しております職場での人権侵害は、裁判所さえもが認めた事実です。
  付け加えますならば、企業の中に人権侵害が存在する事実は「リストラ」という言葉と共に社会一般に知られるところとなっています。
 私が行っております企業内の人権侵害を正す運動は、多くの人の共感を呼び、これまで何度かマスコミでも報道されております。その中には自由民主党、前政調会長の亀井静香氏が、私の会社に対する抗議行動の現場に参加し、私に共感する発言を行ったものを掲載したものも有ります。

 会社に都合の悪い発言をする株主を暴力で排除した会社の行為は「株主の安全を確保」するどころか、株主の身体の安全を脅かすものであることは明らかです。
 幸い沖電気ではこれまで起きておりませんが、「与党総会屋」として右翼団体員や暴力団組員を雇い、株主の発言を威嚇によって遮る議事運営を行う会社が存在したことは、ご存じのことと存じます。
 現に暴力が行使されている場合、それを取り締まるのであれば、警察官の臨席は正当化されると思います。しかし沖電気の場合、暴力を行使しているのは会社側であって、株主は一切暴力は行使していません。
 紛糾する株主総会での発言や議事運営に正当性があるかどうかを判断するのは裁判所の行うところであり、警察官の役目ではないと思います。

 もし警察官が株主総会に会社の招請によって臨席したうえで、正当な発言を行う株主に対しての会社の暴力行為を看過するのであれば、一般株主にとって警察官の存在は、会社の味方をする与党総会屋、暴力団と同じに映ると思われます。
 これは警察の信用を著しく失墜する事態だと思いますので、御考察をお願い致す次第です。
 
 以下お答え頂ければ幸いです。
@  本年6月27日沖電気工業株式会社の要請により同社株主総会に警察官を派遣された事実に間違いはございませんか。
A  その理由は同社社長の発言にあるように株主の安全確保の為だったのでしょうか。
B  本総会で何人かの株主が会社の「警備員」によって暴力的に排除されるに至った事実及び経過を認識されていますでしょうか。
C  その際、株主が会社に対し暴力をふるうようなことが起きたと認識されていますでしょうか。
D  会社の暴力による株主の排除を止めなかった理由は何でしょうか。会社の暴力が正当だと判断されたのであればその根拠はどのようなものでしょうか。
E  来年以降も沖電気の要請によって警察官を派遣されるのでしょうか。


                 以上


2002年8月16日
住所 八王子市椚田町1214.1.707               

氏名  田中哲朗                                  印


8月27日電話による暴力団対策係長新山氏による回答

@ 警察官が少ないので株主総会集中日は警察官が複数の会社の総会を掛け持ちで廻っている。

  当日沖電気の株主総会に臨席した警察官は、総会開会時には臨席していたが、何も起きそうにないので上記事件が起きた時すでに他社の株主総会臨席のため移動していた。だから事件を目撃していないと言っている。

A 来年以降も沖電気から要請があれば臨席する。

B 警察の立場は中立であり、株主だけではなく会社が暴力行為を行った場合にはそれを制止する。

C 会社の議事運営権を認めるから、株主の意思に反し会社が物理的に株主を排除しようとした場合、それが暴

力と認められなければ制止しない。

D 今回何人警官が臨席したかとか、何時から何時までいたかとかは言いたくない。

E  署長に申入書は見せた。


@ の回答はとうてい本当とは信じられません。暴力行為を看過した責任を追及されないための嘘としか思えません。

 総会の録音を聞き返してみましたが、総会の冒頭(議事が始まる寸前)に支援者と私が、昨年のような暴力をふるうなと会社に要求し、それを制止しようとする会社の警備員が私を取り囲んで「大混乱」寸前の状況があります。

 正常な感覚を持ち合わせた警官なら「何も起きそうにない」などと、とうてい思える状況ではないのです。

 また他の会社も同じ時刻に株主総会を開始します。大半の会社が30分から45分ほどで総会を終えます。沖電気から移動しても時間に間に合わない。この点からも信じられない。

B、C のような(あいまいな)立場で警察官が臨場すれば一般株主には警察は会社の味方だと感じます。

 しかも、今回制服の警官はいませんでしたから私服で臨場していましたことになります。会社には誰が警官か分かるが、株主には分からない。これも会社の味方をしていると感じる要因です。

 

会社の不祥事を株主が追及し続け、会社がそれに答えず株主に退場を命じるような場合

商法273条に書かれている議長の議事運営権憲法33条に保障されている 逮捕に対する保障など、基本的人権の概念を超える物では無いはずです。

 正常な議事運営を妨害するものに退場を認めているだけで、会社の瑕疵を追及する、正当な発言を行っている株主までも物理的に排除することを認めているわけではありません。

 こんなことを認めれば結果として、会社に都合の悪い発言を行う株主は、みんな会場からたたき出しても良いということになってしまいます。

 法律上、株主は会社のオーナーであることを警察は忘れてはいけません。

 これから公安委員会への苦情申立を検討します。