東京新聞2002年4月

電機工場でネギこん包、10人チームに命ず

嫌がらせ?

雇用確保?

 中国への生産移転などに伴い、大規模な人員削減を進める電機メーカーの工場で、一部の社員がネギのこん包など本業とは全く関係のない仕事を命じられている。会社側の言い分は雇用確保だが、働く側にとっては自発的退職をねらった「嫌がらせ」。労使の信頼関係が揺らぐ中、現場の不安は増す一方だ。IT関連製品などを生産する沖電気工業本庄生産センター(埼玉県本庄市)。昨年12月から敷地内の建物で、ネギを3本ずつそろえて機会で束にする仕事が続けられている。

 作業に当たっているのは、工場統合による余剰人員を外部企業に派遣するため、1999年に設立された「テクニカル・サポート・チーム」のメンバー10人。チームに入るまでは通信機器の基盤組み立てなどの仕事をしていた。

 「それまでの技術を生かすはずだったが、テクニカルといっても名ばかり」と以前同チームに所属していたある男性従業員。今では自動車、電機など他社の工場だけでなく、八百屋でネギを束にしたり、ゴボウの皮むきをしたりと本業とは全く関係のない仕事をやらされるようになった。

 「みんな疑問を感じながらも怖くて声を出せない。仕事があるだけましと耐えている人もいるが、慣れない仕事を次々と回され、自ら辞めていった人も多い。まるで嫌がらせ」とこの男性従業員は言う。