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根津公子です。31日に東京地裁民事36部難波孝一裁判長は、多摩中から調布中への嫌がらせ・見せしめ・報復異動について、却下、棄却の不当判決を出しました。ここまでひどい判決を、よくもまあ出したものです。
添付したもののうち、「『2 却下、棄却』の判決文を読んで」を貼り付けます。


2 「却下、棄却」の判決文を読んで

都教委の代弁者と成り下がった難波孝一裁判長。彼は9・15鉄建公団訴訟判決を出したあの裁判長である。はじめに結論ありきだったのか!と言わずしてどう解釈していいのだろう、この判決は。今の裁判所に期待ができないことはわかっていても、まさかここまででたらめで不当な判決を出すとは!裁判所が事実としたのは、私の主張については「90分を超える」ということのみ。あとはすべて、被告東京都の主張を「事実」と認定した。

裁判所の罪は大きい。

◇「嶋校長が家庭科教員の過員配置を希望した」と信じ切ろうとする裁判長

人事委員会に審理請求をした当初私は、「過員」のための異動には応じながらも、90分を超える通勤時間は異動要綱逸脱だと訴えた。「過員配置」だったら、どこにでも配置できるはずなのに、都教委は私を遠くに飛ばした。異動先の内示があった直後に私と面接をした調布中嶋校長は、私が「校長が過員配置を希望したのですか」と訊いたら、大きく否定した。面接ではひとしきりその話になった。しかし、校長は人事委員会審理の証人尋問でそれを否定した。翌年立川二中に異動内示があった時の面接では田吉校長が「校長が希望しなくても配置されることがある。二中では家庭科がそうだった」と言っていた。これが事実なのだ。だから、面接の際嶋校長は正直に事実を吐露したのだった。しかし証人尋問で嶋校長は、「調布中の生徒の荒れを直すために家庭科の充実を考え、過員配置を希望した」などという空々しい嘘と、この嘘を通すためにさらに数々の嘘を駆使した。嶋校長の証言によると、「教頭にも家庭科教員にも相談せずに『過員配置』を希望した」のだそうだが、裁判長はこうした誰にでもわかる嘘を以って、嶋校長が「過員配置」を希望したことにした。

◇誰が調べても通勤時間に違いはないはずなのに、被告を援護する裁判長

一番問題の通勤時間について裁判所は、私が提出した内示翌日・翌々日の実測記録と通勤を始めてからの長期間の実測記録に対して真っ先に見解を出すべきなのに、そこでは「90分以内で通勤すると認めるに足りる証拠は存在しない」と一言触れたのみ。そして、都教委が『駅すぱあと』に架空のバス予定時刻を入れてつくりあげたデータや、多摩市教委が実測したと偽って出した『実測』の嘘には触れずに、都・市教委が調べた結果、「80分台」「87分」となったと認定した。しかもその結果は、自宅からバス停までの時間も、東京中で1,2を争う校庭の並木道を持つ調布中前から職員室までの時間も通勤時間から外し、始業時刻2時間5分前に家を出発することをもっての認定である。証人尋問でこの通勤所要時間の算出にさえ嘘・偽りがあったことがはっきりしたのに、裁判長はその指摘を回避し、調布中と決めるに当たって都・市教委はここまで丁寧に対応したのだと言わんばかりの肩の持ち様だ。

さらには、「公共交通機関が時刻表どおりに運行されれば、90分以内も可能」とまで、判決文に書いた。7時16分発の京王線電車に乗るのにバス到着は7時16分。私は、「7時16分京王八王子着」のバス時刻表(バス会社発行)を提出しているのに、それは見ていないのか? 都合の悪いことはなかったかのように消し、ここまで裁判所は断じた。時間の進み方は1秒の狂いもなく世界中単一のはずなのに、難波裁判長の時間観には思想が絡む。原田市教委室長は証人尋問で、私が「16分の電車には乗れなかった」と言ったら、「努力すれば乗れる」と呆れることを言ったが、裁判長もこれと変わらなかった。

また、都・市教委の偽りの通勤所要時間算出に対して裁判長は、「都・市教委が同時期に多数の教員の異動作業を行うことなどを考慮すれば、調査が杜撰であったとまでいうことは困難である」とどこまでも温かい。 

◇多摩中から排除することや長時間通勤にする意思は被告になかったと断定した裁判長

多摩中での「指導力不足等教員」攻撃、懲戒処分の発出についても、都教委の主張どおり、「生徒やPTAからの苦情が相次いだことなど」が理由だと、その根拠を述べずに認定した。そして、「過員による異動」に乗じた嫌がらせ・見せしめ異動であると私が主張したことについては、一切触れずに、「過員による異動」と断定した。

ところで、異動作業に当たった池田・都教委管理主事は尋問で、「指導力不足等教員」攻撃を受けた根津について「当時は担当ではなかったから細かいことまでは知らなかった」と言い切った。しかし池田氏は、私を「指導力不足等教員」にするかどうかの判定作業の担当者で、書類に押印していた。後日こちらはその文書を証拠として提出した。

さて、何故に池田氏は嘘を述べなければいけなかったのか?また、何故に裁判長はそのことに判決文で一言も触れなかったのか? この事実こそが、「過員による異動」ではなく、それに乗じた嫌がらせ・見せしめ異動であることと、裁判長が都教委の弁護人のごとくの極めて政治的な判断をしたことを示している、と私は思う。

◇「『特段の事情』があったから『90分』を超えても違法ではない」と裁判長

「特段の事情」とは、次の6点のようだ。@過員解消という正当な目的があった。A多摩地域で家庭科の過員配置を希望する学校が少なかった。B調布中であれば、「駅すぱあと」で80分台という結果が出ていた。C公共交通機関が時刻表どおりに運行されれば、90分以内も可能。バスの遅れがあっても、100分前後での通勤が可能。D通勤時間90分を超える教員は407名いたし、異動要綱も15年7月に90分から120分に改定されていること。E自家用車による通勤を原則禁止したものの、他の交通機関によることが困難な場合等には自家用車通勤が許可されていた。車通勤なら余裕を持って90分以内で通勤できる。

 「特段の事情」が存するとするならば、それは私が調布中でなければならない「特段の事情」を指すはずである。上記6つの一つとして「特段の事情」には該当しない。ないしは、事情の事実に誤りがある。@「過員解消」(「過員による異動」)を濫用し、A嶋校長は後になって、希望したことにさせられた。B都教委は時刻表を操作して、架空の出発時刻をつくり出した。C前述したとおり、時刻表どおりの運行で90分を優に超えるのだ。D「407名が我慢したのだから根津も我慢せよ」と我慢させられるのは、お断りだ。当時の異動要綱で論じるのが法治主義の原則でしょうに、その後都教委が勝手に改定した異動要綱を引き合いに出してきたのにもびっくり。E中央高速を使って車通勤を勧めるとは何と言うことだ!裁判所がこれを勧めるのならば、「ただし高速代金は都教委の負担とする」の一文を入れるべきだろう。

 以上、どれをとっても「特段の事情」に当たるものは一つとしてない。にもかかわらず、裁判所は嫌がらせ・見せしめの真の目的を隠すために「特段の事情」を引き合いに出し、「違法ではない」として、私の訴えを却下、棄却した。報国判決であった。 

                             原告 根津公子