石川中裁判を支える会会報

ほ う せ ん かNO3 2001.7.20 発行
http://www.din.or.jp/~okidentt/nezusan.htm
http://lovepeace.org/ks-m/peace/mokuji.html
http://www1.jca.apc.org/anti-hinokimi/nezu/index.html
http://www5b.biglobe.ne.jp/^kitutuki/index.thm

連絡先 0246-64-5602田中 042-592-3806 古荘 042-524-9863加藤 0422-44-0364谷島

住所 〒190-0022 立川市錦町2-4-22      加藤方 振込口座 石川中裁判を支え る会00150-7-15453

《公開要請書》

 東京地方裁判所八王子支部民事第3部合B係御中           

石川中裁判を支える会
                           
 私たちは、2001年5月31日午前10時から東京地方裁判所八王子支部第401号法廷で開かれた裁判を傍聴しました。元、八王子市立石川中学校の教員の根津公子さんが、八王子市を訴えている損害賠償請求事件です。そして、裁判の進め方に若干の危惧を感じました。そこで、ここにその理由を述べ、十分に公正な裁判が進められますよう公開要請するものであります。


 私たちは、学校教育の在り方に危惧を抱いている市民です。憲法や教育基本法の精神が踏みにじられ、学校から自由や民主主義がなくなりつつある昨今の状態を憂えています。


 貴裁判官に申し上げるまでもなく、1999年8月9日に成立した「国旗及び国歌に関する法律」は、国旗等の掲揚を義務づけたものではありません。その法律には「義務とする」とは何処にも書かれていません。また、法案審議の過程で政府は「義務ではない」「現行の運用に変更はない」と、国会で答弁しています。にもかかわらず、この法律の成立・施行後、一部の地方公共団体、なかでもとりわけ教育委員会は、「日の丸・君が代はこの法律により義務化された」かのように解釈して、学校現場に強制・義務づけを強行しています。生徒や保護者や教員の、思想・信条の自由が侵され、人権侵害がまかり通り、著しい憲法違反事件が各地で起きています。根津公子さんのこの損害賠償請求訴訟は、そのような憲法違反を告発したものではないでしょうか? 私たちは、教育委員会という行政機関がこのような法の解釈の逸脱行為をしているとき、それを止めさせることこそ司法の役割ではないかと考えます。こういう市民感覚は、きわめて妥当なことではないでしょうか? ですから、この裁判では、憲法で保障されている表現の自由、学問の自由などが、学校現場で侵されていないかどうか、じゅうぶんな審理をして欲しいのです。


 ところが、貴裁判官は、「事実関係では大きな相違はないので……」という認識で裁判の早期結審を考えておられる旨の発言をなさいました。そのようなお考えで今後裁判を進めて行かれることを憂慮いたします。5月31日、被告の八王子市が出してきた準備書面(1)を見ますと、重大な点に関して事実の捏造が見られます。私たち、「石川中の裁判を支える会」としては、市教委はフィクションづくりを始めたと感じています。この点に限って、当日、法廷で根津さんは怒りを抑えた意見陳述をされました。私たちも,八王子市教育委員会の卑劣なやり方に怒りを禁じ得ません。さらに、被告側の主張は、「根津さんは、学習指導要領の枠を越えた授業をした。ましてや、君が代・日の丸に触れるとは言語道断である」という趣旨のものです。文部省の寺脇研氏は、「学習指導要領には枠はない。最低の基準を示したものだ。学校現場では創意工夫をして、内容のある授業をして欲しい」と、発言されています。八王子市教育委員会側が、今回の準備書面(1)で主張している「学習指導要領の枠を越えている」という主張も、枠がない以上、成り立たないわけです。この点から見ましても、この裁判は、単なる損害賠償請求事件ではなく、自由で創造的な教育を模索しようという教師に対して、教育委員会が不当に圧力を加え、がむしゃらに現場から排除しようとしているという、権力の乱用が問われている事件ではないでしょうか? もし、貴裁判官がそうではないとお考えならば、事態を危惧している私たちが納得できるような判断をお示し下さい。しかし、そのためにこそ、十分な審理が必要ではないでしょうか?


 私たちは、根津さんの現・勤務先である東京都多摩市で、多摩市教育委員会から門前払いのような対応を受けました。2001年4月、多摩市教育委員会が根津さんに対し八王子市市教育委員会と同じような不当な権力乱用をしようとし、私たち市民が事態の真意を問いただしに出向いた時のことです。21世紀を迎えた今日、まるで封建時代の時代劇を見ているような感じでした。行政も、司法も、市民に対し十分な説明をし納得できる対応をしてこそ、民主主義社会といえるのではないでしょうか? 


 裁判官は膨大な仕事に追われているということを聞きます。裁判官の仕事からくる立場上の苦労は、当事者でない私たちの想像を絶するものがありましょう。激務のあまり人間性を損なわれてしまいそうな裁判官もいるというようなことも、マスコミでいわれていますが、まるでそのことの一端が現れたかのように、2001年1月、高等裁判所の判事の妻の恐喝事件と、その捜査情報を検察側から得てことを隠蔽しようとした判事の事件が起きました。さらに6月には、別の判事の少女買春事件が起きました。日本の21世紀の司法界は前代未聞の事件で幕開けをしました。国民の司法に対する信頼は崩れつつあります。これは、日夜激務と闘いながら、本来の司法の姿を模索しておられる数多くの裁判官の方々にとっては、苦々しい限りでありましょう。同時に、私たち日本の市民にとっても悲しいことです。しかし私たちは、「だから裁判官は……」というようなくくり方をするつもりはありません。それは、「だから教員は……」とか、「だから女性は……」とか、「だから何々は……」とかいう形でものを決めつけるのと同じだからです。こういう十把ひとからげのものの見方は、物事を深く観察し、考え、問題を解決する力にはならないと思われます。裁判官にもいろいろな方がいるでしょう。私たちは、日本の多くの裁判官の方々が、日本国憲法が保証している民主主義の精神に則ってお仕事をされていると、考えています。
 以上のような理由から、この事件に関しまして、十分な審理と公正な裁判がされま
すよう公開要請するものであります。 
                    

八王子市教育委員会による事実の捏造に対して 根津さん怒りの意見陳述

甲9号証 第2回意見陳述

原告・根津公子  八王子市から届いた準備書面を読みましたら、争点以前の問題で,故意の事実誤認、端的に言えば、校長の嘘が目立ちました。その嘘は、処分の可否を左右する重大な事柄になるはずのものだったと思われますので、そこに限って陳述させていだだきます。  2月15日、私が授業を始めるに当たって校長にプリント教材を見せ、承諾を得たことについてです。  その時私は、次のように言いました。「明日からこのプリントを使って生き方の問題について話をします。誤りはないつもりですが、もしこのプリントに事実誤認がありましたら指摘してください。誤りがあれば直しますので。」それから、「子どもから『今年は日の丸どうなるの』という質問が上がると思いますが、上がったら、校長が『実施する』と言っている事実を話します。問題ないですね。」と問いました。それに対し、校長は「事実を言うことに問題はありません。良識に沿ってしてくださいね。」と言い、私は「もちろん良識に沿って話します。」「明日からしますので、よく読んでいただいて、事実に誤りがあったら指摘をお願いします」と念を押したのでした。校長からはなんの指摘もなかったので授業に入ったのです。これが事実です。私はその日のうちにメモをしっかり取っていますから、正確さには自信があります。  しかし、八王子市の準備書面では、私が校長に「事実誤認や問題があれば指摘してほしい」と頼んだことを否認し、以下、校長の自己保身のためか八王子市の威信にかけてか、偽の「事実」が作文されています。  今後、校長の嘘は明らかにしていきます。嘘と嘘を繋ぐとそこに矛盾が露呈しますから、裁判長には真実はお判りいただけるものと思います。  八王子市及び八王子市教育委員会のずさんな事実確認について一言申し述べました。


嘘はこうして証明できる
もし八王子市の作文通りだったら、市教委も元校長も、どうして今まで黙っていたのですか? 市教委の一室でさんざん根津さんを事情聴取して暴言を浴びせていた頃にどうして、「この事実は違う」と言わなかったのですか? どういう嘘をついたらいいのか思いつかなかったのかね?
元校長が証人として出廷すれば、偽証罪を犯すことになります
それでも、市教委に因果を含められて(?)嘘をつきとうせるかな?

第2回裁判を傍聴して 

※ 感想
     (神奈川県)清水れい子

 裁判官の高圧的な態度に驚きました。これでは公正な裁きは期待できないと感じました。それにしても、日の丸・君が代に対する過剰なまでの反応は理解出来ません。こんなにピリピリしているのは法制化の後?
 裁判というものへの信頼が崩れ落ちた一日でした。
 自分の立っているところが本当はかなり危ないところなんだということを知りました。
処分の対象になった授業までの根津さんと校長先生とのやりとりを聞いて、改めて八王子市教育委員会の処分の不当性を感じます。同時に裁判官達はどうしてこれが理解出来ないのか不思議でなりません。
根津さん、お疲れさま!!

※ いとしのTシャツ
             (東京都) M・F

私は、一匹の根津パラサイトである。根津本体は、絶対エネルギー100程度で活動しているが、私、パラサイトのエネルギーは5くらいか?
 『さよならソクラテス』とか『帰ってきたソクラテス』などの著者の哲学者・池田晶子さんが(この2冊はすっごくおもしろい。が、哲学者の思考は難しいので7〜9割しか理解できない)、現代の日本人は何のために何をしているかを自覚していないと言っている。つまり考えて生きていないということだ。そして、「わが闘争」というエッセイで、世の中の俗物を相手に、切った張ったと喧嘩を売っている。切れ味抜群、おもしろい。私も批判される俗物のひとりなのだが、それは棚に上げて、「考えなきゃ!」と直ぐにその気になり、考え、そして、自らに「パラサイト闘争」宣言をした。真似をして「我が闘争」と言うにはあまりにも恥ずかしい……。考えてみて、改めて気がつき確認した。根津さんの裁判に関わることは、「強制にノーと言うことだ」「強制イコール考えることの放棄」ではないか。うーむ、根津公子も池田晶子もすごい。考えている。根津公子は超・優しい、池田晶子は超・美人。ちょっと違いがある……。
 時は衣替えの時期。パラサイトの手もとには古いTシャツがあった。残った絵の具もあった。そこで、その絵の具でTシャツの前と後ろに「強制反対」「日の丸・君が代」と書いた。「日の丸」という字を赤で書くのは抵抗があり、黄色の絵の具をわざわざ絞り出した。2枚できた。


 いよいよ当日。法廷で着ようと、おっかなびっくり、期待も半分、落ち着け落ち着けと自分に言い聞きかせつつ、2枚のブツをバックに入れて出かけた。地裁に着くと、幸いに、汗びっしょりだ。よかった、着替える口実ができたじゃないか。さっぱり着替えて、傍聴に来た人たちのところにさっと登場。「ニューファッションよ」。すると「おー」「なにそれ」「まぁー」とかなんとか単語が飛び交っていたが、私は裁判所の職員になんか言われたらどうしようと思っていた。が、何も言われなかった。「もう一枚あるよ。誰か着る?」と言ったらすぐ「着る」と言ってくれた女性がいた。嬉しかった。二人で一番前に座った。心強かった。(その女性の名前を聞かないでしまった。ありがとう。)開廷。…… 略……。閉廷間際、やはり裁判長が、そういうものを着て入ってはいけないというようなことを言った。裁判官の発言にしては、説得的でなく、圧力を感じた。傍聴席から、「デザインだ」とか何とか声が挙がった。私もはっきり理由を聞こうと思い「どうしてですか?」と聞いたら「静かにさせたいからだ」といわれた。「?」私は静かにしていました。裁判長は、「とにかく警告はしましたから」と言い放って、向こうに消えた。後で、萱野弁護士や和久田弁護士に、いろいろ教えていただいた。ひとつ利口になった。また考えよう。

  裁判は始まったばかりです。 カンパをお願いします。 振込口座 石川中裁判を支える会 00150-7-15453 根津さんには、T中学校で、魔女狩り的攻撃が始まっています。身分保障が危ぶまれています。
    
 今、裁判はこうなっています 2001年7月現在
   
第1回公判(2001年4月12日)  原告・根津公子さん訴状提出
訴状の主な内容 主張の柱


八王子市教育委員会が、1999年8月30日、原告に出した訓告処分は不当である。
  教員の授業内容自体をとらえて処分することは、教育行政の違法な支配介入である。
  憲法10条・個人の尊厳、憲法21条・表現の自由、憲法23条・学問の自由、憲法  26条・教育を受ける権利・教育の義務、及び、教育基本法1条・教育の目的、教育  基本法10条・教育行政、違反に当たる。


第2回公判(2001年5月31日)
            被告・八王子市が、準備書面(訴状に答えたもの)を提出
弁護士 木下健治 / 被告指定代理人(八王子市吏員)岡部正明・野村暁央・鳥越克彦・永関和雄・青柳光男・浅野浩市・飯田良雄・萩生田孝
被告側の言い分

@ 訓告処分は処分ではない。
     反論  処分を受けたことは事実です。取り消しを求めているのではない。ピントはずれなことを言うな。
被告側の言い分

A …秋山校長は…「このような授業は止めてくれ」と指示したと訂正…
     反論  根津さんは授業の前に「校長にプリントを見せ承認を得る」というプロセスを踏んでいる。
         ところが、「授業は止めてくれ」と言ったと言い出したのだ。嘘!
被告側の言い分

B 根津さんの授業は学習指導要領の枠から逸脱している。
     反論  枠なぞあるのか?
原告・根津さん側は求釈明書(相手への質問書)を提出


求釈明書の主な内容
@訴状4の(1)の授業内容への違法不当な支配介入という原告の主張に対し、被告は何らかの反論をする予定があるのか否か。


 A被告準備書面(1)の第3の1に、原告の使用したプリント(甲2号証)に基づく指  導は学習指導要領に逸脱し不適切である旨の主張があるが、これは同プリントに記載  された内容に事実誤認等の誤りがあるという趣旨を含むのか否か。

 
今後の我々の主な主張


被告・八王子市教育委員会は、根津さんの授業の内容をとらえて処分を出した。そのこと自体が教育基本法第10条違反だと、我々は主張している。しかしそのことにはいっさい反論せず、授業内容が学習指導要領の枠を越えていると言う主張だけである。根津さんの授業は学習指導要領の枠を越えているとしか言っていないが、そもそも枠などあるのか。学習指導要領は、最低の基準を示したもので、現場では、それを膨らませてどんどん創造的な授業をすべきだと、文部省でさえ言っているではないか? そうやって、口出し
することそのものが違反なのだ。そのことを、反論するつもりはあるのか?

第3回公判を傍聴しましょう   

8月23日(木)13時   八王子地裁401号法廷

八王子市教育委員会に事実を捏造させないために!  八王子市教育委員会に都合の悪いことでダンマリを決め込ませないために!  八王子地方裁判所が公正で十分な審理をするかどうかを見とどけるために! 原告・根津さんが被告への反論の書面(これも準備書面という)を出す予定です。

戻る