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2001.12.21号

●多摩市教育委員あて「質問書」  

●1・12緊急集会賛同人  

                        12.21現在の報告 

                        

☆ 11月20日多摩市教委定例会は「教育の自由を考える市民集会実行委員会」が提出 

していた「教育長・指導室に対する指揮監督についての請願」を不採択にしました。

(亀子新聞11.22号参照)それに対し「教育の自由を考える市民集会実行委員」が教育

委員あてに質問書を出しています。お読み下さい。

      ―――――――――――――――――――――

          質 問 書

多摩市教育委員会 教育委員  北川 秀二殿

多摩市教育委員会11月定例会における当会請願の審議について、以下のように北川委員に対して質問するものである。

@ 10月30日の多摩市教委定例会では、「「都教委の手続きが継続中なので、請願審議は継続審議とする」と結論した。11月の請願審議では、何らかの市教委の見解の変更が決定されたのか、まず、それが明示されることが、審議に入る前提となるはずである。11月の審議は、その前提を欠いた不当・無効があると判断するが、北川委員(以下、委員とする)の見解を求める。

A 委員の発言に、よく現れているが、請願の趣旨がそもそも理解されていない。請願者は再三、趣旨説明の発言を求めてきたものである。(10・11月の定例会の前に)事態の理解を意図的に忌避したのではないか。ここにも委員らの懈怠がある。委員の見解を求める。

B 委員は、「保護者」と当該教員の関係に着目し、「保護者からの手紙」と思われるものを繰り返し朗読しているが、実際に読み上げたものがどのようなものなのか、その体裁、形状も、不明である。その実態が明示されないまま審議が進行されたことは不備である。文書の体裁、形状、作成者、作成年月日、宛先等が確認されるべきである。読み上げられたものが何通分の手紙に相当するのかも、判別できないのが

  実際である。委員の議論は不備があり、それを材料とした審議は不当であると反省されるべきであるが、委員の見解を求める。

C 委員は様々な資料を収集していると考えられるが、市教委事務局は、委員への資料提供を否定している。どのような方法・経路で資料収集をなしたのか、明らかにする義務があると考える。職業上での多摩中学校、市教委、都教委関係者との取引の有無も明らかにすべきである。委員の見解を求める。

D 委員らは1ヶ月の事実調査をしたとしているが、当該教員からの聴取が不可欠であったことは自明である。事実調査には欠陥が明確であると考えるが、委員の見解を求める。

E 委員のなした行為は、軽率でおり、多くの誤解を生むものである。審議を一方的に誘導する行為があったと判断されてもしかるべき、不備、不当があった。

委員は自らの責任において、前回請願審議の無効を認め、再審議、慎重審議の提案をなすべきである。明確な回答を求める。

以上、@〜Eについて、文書による回答を求める。回答には、12月定例会の審議にも関わるので12月17日までに当会連絡先に届くようにすること。 

                               以上

2001年12月11日

       教育の自由を考える市民集会実行委員会

       代表 小山七積 多摩市永山3-4-4-409 TEL 042-371-2185

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 ☆次回多摩市教委定例会は 12月27日(木)14:00〜です。(支える会通信参照)

           ―――――――――――――――――――――

☆ 1・12集会賛同人の呼びかけに、亀子新聞発信後すぐに、つぎつぎと返信いただきありがとうございました。12月20日現在の賛同人名簿が、1・12集会実行委員の小山さんから届きましたのでご報告します。(21日の亀子新聞あてのお申し出分書き加えました。)引き続きご協力お願いいたします。

    

 《賛同人》小森陽一、杉本祐作、山本信子、十倉 桂、山川 暁、真島富二、和田幸子、

      長尾すみ江、滝口直行、佐久間む津美、鈴木康子、神田久仁子、太田喜久子、   

   田中営子、青木洋子、村上禎子、村上芳夫、田原 肇、阿部裕行、高市裕子

   二宮展雄、唐仁原 久、石毛理美子、清水洋子、黒須康則、小山七積、

片岡一英、木村雅英、松井雅子、上田恵弘、田中哲朗、新井康子、古荘斗糸子

遠藤良子、加藤克子、福島博子、谷島光治、田中 等、中地弘志、中川信明、

田畑和子、坂本史子、松本 薫、中森圭子、石下直子、羽成 純、大河原礼三

生川昭芳、京極紀子、近 正美、高木 正、北村小夜、清水れい子、穂鷹守

   増井潤一郎、古荘 暉、入江一恵、中村英之、鹿山幸江、石川逸子、井上悦子

   石岡洋子、米山良江、内山裕子      2001.12.20現在

   吉沼紀子、黒崎律子、滋田央子、加藤賀津子、風浦リウマ、菅原百合江

   田中弥須子、菅野広志(豪国)、菅野和子(豪国)2001.12.21現在 

    ――――――――――――――――――――――――――――

 ☆賛同人呼びかけに、メッセージが届いています。        

●亀子新聞 様

 授業内容にまで介入し、教員一人ひとりの思想・信条の自由を裁く(処分される)

ことは絶対許されません。「子どものために」に名を借りた国家主義的教育が、結局

子どものためにならないことは、「お国のために」を最上価値として教えた戦前の天

皇制軍国主義の誤りで明らかです。

「自分で考えましょう」「自分のために」と教室で語った根津さんが、処分されるい

われは全くありません。多摩市教委の強引さ、論理的破綻は明かです。根津さんを子

どもたちの前から引き剥がしてならないと思います。

教育塔を考える会 中村 英之

● いつもありがとう。

   私も、ジェットコースターでふんばる1人に加えて下さい。 S・I                   

         ―――――――――――――――――――――――――――

☆ 関西イントラネット情報 (教育塔を考える会 中村さんより。講師の池添さんは「週間金曜日」で根津さんについて精力的なレポートをされています。)

12/22「日の丸・君が代」に反対する関西ネットワーク学習講演会

日時 12月22日(土) 14:00〜17:00

場所 エルおおさか(地下鉄 京阪「天満橋」西へ3分)

講師 池添 徳明さん(ジャーナリスト)

主催 「日の丸・君が代」に反対する関西ネットワーク

      ―――――――――――――――――――――――――――

☆ ☆雪です。雪が降っています。

☆ 次回 亀子新聞は増刊号「車内のポスターから」をお送りします。(亀子) ☆


 
                      

12月16日号

「根津さん処分をとめよう」

1・12緊急集会のお誘い

賛同者になって下さい!

指導力不足教員”のデッチ上げは

   不可解な「一通の手紙」から始まった

「根津さん処分を とめよう」 1・12緊急集会

  教育の管理統制・心ある教員への抑圧排除を許さない

時間 2002年1月12日(土)PM2:00〜

場所 やまばとホール (市役所隣旧多摩市関戸公民館)

     京王・小田急永山駅徒歩15分 聖跡桜ヶ丘バス10分

内容 講演 小森陽一 特別報告 国立など 教組、市民団体

              資料代 500円

多摩で国立で、そして全国各地で、学校という閉じられた空間の中で、心ある

教員が狩り出され、人権無視の監視やデッチ上げで、職場を追われ、押し潰さ

れようとしています。そして、子どもたちには「素直さ、従順さ」が押しつけ

られているように感じます。

多摩では授業で「軍隊慰安婦」問題を取り上げた教員が4月から「処分」攻撃

に晒されています。

★ 4月、多摩市教委は多摩中学教員・根津さんに対して、「授業の進め方につい

て市民からの苦情があった」という理由で「事情聴取」を行いました。市教委

は「苦情」の内容を質問する市民にはおろか、本人にも明らかにしていません。

★ 7月、市教委と都教委は、根津さんに対して、異例の長期授業監視を続け、

一方で校長は、根拠のない授業改善命令などを立て続けに「職務命令」の形で

出してきました。しかも、その真意を質問する根津さんに対して問答無用です。

★ 9月、校長は「指導力不足等教員」の申請を出し、市教委は都教委にその申

請を上げました。何を根拠に「指導力不足」を申請したのか、校長、市教委、

都教委は明らかにしようとしません。

★ 根津さんは断じて「指導力不足」教員ではありません!教育に対して、不当な

政治的介入・支配から良心の自由を守り抜くため、私たちは全力をあげて不当

な「処分」を断念させる行動を続けたいと思います。

★ 1・12集会への参加と今後の行動への参加・強力をお願いします。

主催 1・12集会実行委員会/多摩島嶼教職員組合/

教育の自由を考える市民集会実行委員会/「日の丸・君が代」強制に反対するシン

ポジュウム実行委員会/考え判断する子どもたちを育てる学校教育を!市民の会/

石川中裁判を支える会/校長のデッチ上げを許さない教員の会

 連絡先 多摩市永山3−4−4−409 phs 070−6551−9414

 fax   042−371−2185(小山)

 tel/fax 042−592−3806(古荘)

バス案内 桜ヶ丘発 多摩センター行き 多摩市役所前下車

☆ 2001年も後2週間余り、この1年根津さんを先頭に、浅草花屋敷のジェトコースターに乗っている気分でした。それでも乗客(支援者)みんな両足をふん張り、突き進んでいきました。署名活動、抗議・要請行動、集会参加、皆さんがそれぞれの場から支援のメッセージを発信し、大きな力になりました。一年間ほんとうにありがとうございます。

 2002年初春に、1・12集会が開かれます。ジェットコースターをどんどん長くして、みんなで乗り込み、踏ん張ってNO!と言い続けましょう。

 集会の賛同者を募っております。多くの方のお申し出をお待ちして居ります。亀子新聞読者の賛同者のとりまとめをして、根津さんにお渡しすることになります。どうぞお力をお貸し下さい。メール、FAXでご連絡ください。個人(匿名の賛同も可能です)団体問いません。宜しくお願いいたします。(亀子)  


2001.12.8号

多摩市教委へ申入書等

B多摩教組より抗議、質問書11.27

C多摩教組より申入書   11.27

      ――――――――――――――――――――――――

B 2001年11月27日

多摩市教育委員の皆様

                        多摩島嶼教職員組合

(国立市北1-1-6コーポ翠1階西)

                          執行委員長 長谷川康夫

                          多摩地区代表 増井 孝

 

 「教育長・指導室に対する指揮監督権についての請願」審議に関する抗議と質問

11月20日の多摩市教育委員会第13回定例会において、教育委員各氏は、「教育長・指導室に対する指揮監督権についての請願」(以下、同請願と言う)を不採択としたが、その過程において看過できない問題があります。多摩教組はこのことに関し以下の点、抗議します。

その第一は、本対象者である多摩中教諭根津さんを「指導力不足等」と認定し、「ステップアップ研修」が必要だと結論づけることは、教育委員に委任された職務ではなく、越権行為であること。

同請願の審議は、多摩中前島校長・多摩市教育委員会の行為が根津さんへの人権侵害に当たるか否かについて行うべきものであって、それを超えることに言及することは委任されていないはずです。

その第二は、「1ヶ月間、教育委員が調査した」として各委員が発言したことは、校長の上申を鵜呑みにしたもので、到底「調査したもの」とは言えないものであること。これをもって、「調査した」と言うならば、それは教育委員各氏が予断と偏見に支配されているからに他なりません。調査の基本は、どんな場合も、双方の当事者から事情を聴取することに始まるはずです。しかしながら、教育委員の誰一人、根津さんから事情を聞いた人はいません。また、同僚から聞くこともありませんでした。これでは公平な調査がなされるはずはなく、教育委員の予断と偏見、個人的嗜好で判断したと言わざるを得ません。

その第三は、予断と偏見に満ちた「調査」の末、そしてまた、家庭科教育に対して家事裁縫の域を出ない思考をする教育委員各氏が、根津さんを中傷する言動を公開の場で行ったこと。これは、根津さんに対する人権侵害の上塗り行為です。

以上、私たちは、このような「調査」と審議で、教員ひとりの処遇が左右されることに、そしてまた、多摩市の教育が破壊されることに断固抗議します。

続いて、以下に質問を挙げます。12月10日までに文書回答するよう要求します。

@ 調査はいつ、誰が、どのように行ったのか。資料はどこから提供されたのか。また、そこで明らかになったことは何なのか、そのすべてを挙げてほしい。

A 根津さん本人に事情を聞かなかったのはなぜか。

B 同請願理由の記述と委員が「調査」したこととの間には大きな隔たりがあるが、請願理由の記述を虚偽と判断した根拠は何か。また、この隔たりは何によって生じたと、捉えるか。

        ―――――――――――――――――――――――――――

C 2001年11月27日

多摩市教育委員会

 教育長代理 小谷田 進様

 指導室長 原田美知子様

                         多摩島嶼教職員組合

                         (国立市北1-1-6コーポ翠1階西)

                          執行委員長 長谷川康夫

                          多摩地区代表 増井 孝

 

   多摩中根津さんへの人権侵害を即刻止めることを求める申し入れ書

 多摩市教育委員会が多摩中教員根津さんに対し行ってきた一連の人権侵害に対し、これを止めるよう、以下2点申し入れます。

(1)「教育長・指導室に対する指揮監督権についての請願」が不採択されたことに関して

11月20日の多摩市教育委員会第13回定例会において、教育委員各氏は、「教育長・指導室に対する指揮監督権についての請願」(以下、同請願と言う)を不採択としたが、その過程において看過できない問題があります。そこでは当然、それを受ける市教育委員会・指導室の姿勢が問われます。

根津さんに対するこの間の市教育委員会の動きを見ると、公平さの微塵も見られず、したがって、同請願が不採択されたことにより、市教育委員会がこれを悪用しないかを私たちは危惧します。それは、後に述べるように教育委員が市教委から独立した存在とはなっていない実態があるからです。次の3点は私達が教育委員各氏に宛てた抗議内容ですが、このような関係の中で、私たちは市教育委員会に対しても自省を求めます。

抗議内容

・その第一は、根津さんを「指導力不足等」と認定し、「ステップアップ研修」が必要だと結論づけることは、教育委員に委任された職務ではなく、越権行為であること。

同請願の審議は、多摩中前島校長・多摩市教育委員会の行為が根津さんへの人権侵害に当たるか否かについて行うべきものであって、それを超えることに言及することは委任されていないはずです。

・その第二は、「1ヶ月間、教育委員が調査した」として各委員が発言したことは、校長の上申を鵜呑みにしたもので、到底「調査したもの」とは言えないものであること。これをもって、「調査した」と言うならば、教育委員各氏が予断と偏見に支配されているからに他なりません。調査の基本は、どんな場合も、双方の当事者から事情を聴取することに始まるはずです。しかしながら、教育委員の誰一人、根津さんから事情を聞いた人はいません。また、同僚から聞くこともありませんでした。これでは公平な調査がなされるはずはなく、教育委員の予断と偏見、個人的嗜好で判断したと言わざるを得ません。

・その第三は、予断と偏見に満ちた「調査」の末、そしてまた、家庭科教育に対して家事裁縫の域を出ない思考をする委員各氏が、根津さんを中傷する言動を公開の場で行ったこと。これは、根津さんに対する人権侵害の上塗り行為です。

以上、私たちは、このような「調査」と審議で、教員ひとりの処遇が左右されることに、そしてまた、多摩市の教育が破壊されることに断固抗議し、多摩市教委が根津さんに対しこれ以上の職権濫用と人権侵害をしないよう要求します。

なお、委員が「調査した」として入手した資料は、教育委員会、前島校長いずれが提供したものか、教育委員会・指導室からの回答を求めます。

(2)人権侵害を止めるよう求めます

私たちは、4月以来、根津さんに対し、不当極まりない人権侵害をする市教委の姿勢を指摘し、抗議してきました。嘘を使ってまで保護者・生徒の不信をかりたてた多摩中前島校長と校長とつるみ、校長の職権濫用を指摘できなかった市教育委員会の行為を許しません。市教育委員会はただちに、都教育委員会にあげた「指導力不足等」の申請を取り下げ、前島校長に戻すこと。そして、校長が保護者・生徒に流した嘘やデマについて、謝罪をするよう指導することを求めます。

                      



11月22日号 

多摩市教育委員会第13回定例会

「教育長・指導室に対する指揮監督についての請願」

@(簡略)議事録

A請願書

              

 しばらく都教委との話し合いの報告が続き、都のほうに目が向いていましたが、20日多摩市教育委員会定例会(11/20)の報告が根津さんより届きました。深夜緊急に回しましたので、お読みいただいたと思いますが、再度(簡略)議事録と教育の自由を考える市民集会実行委員会が多摩市教育委員会へ提出した請願書をお送りします。

 委員会の内容は客観性を欠いた暴走決定としか思えません。こうした委員会の動きに対し教育の自由を考える市民集会実行委員会(署名活動等取り組んでいる)から抗議行動の呼びかけがきています。あわせてお読み下さい。

                                           

@ 多摩市教育委員会第13回定例会

「教育長・指導室に対する指揮監督についての請願」(簡略)議事録

教育委員出席 中(委員長) 北川 伊東 保田

北川) 提案趣旨が事実であれば(人権侵害と言うのは)もっともなことだ。従軍慰安婦を授業でとりあげただけでなら問題ないと思うがいかがか。

伊東) 12年4月の辞令交付の時から印象がある。(注:辞令伝達式で「国歌斉唱、ご唱和ください」と司会が言ったことに対し、私が「いやでーす」と発言したこと)多摩中の運動会、聖桜祭(注:学習発表会)もあり、注目していたが先日の子ども市議会で発言があり、生徒から、「こういう教師からは授業を受けたくない」とあった。どういうことか。「こういう先生から」ではなく、「こういう教師から」という発言に驚いている。保護者会の動き。授業で配った資料、生々しく、常識的に見て家庭科の授業でどうか。今読んでも驚くような内容で、保護者が校長に対し、追及していくのは当然という感想だ。

保田) 北川意見に賛成。慰安婦を取り上げただけで問題にするのは問題だ。しかし、女性の立場として、どう男女共生社会を築いていくかは大事なこと。こういう問題に大人が目を背けていかないことが大事。同時にどういうところで取り上げるかも大事。

北川) 他の学校と遜色ない程度ならいいのではないか。

中)(座長として) これを共通理解としましょう。

北川) 指導力不足の申請、どういうことでか、意見をまとめるということでいいか。

2000.11.1改正の要綱第2「病気以外の理由で〜」は抽象的。指導力不足教員とは何か、議論をしよう。「等」とは、生徒指導、学級経営の責任を果たせない。他に、保護者や同僚から信頼を得られない。子どもの心身の様子を把握していない。同僚との関係が含まれると思うが、どうか。今の要件から、対象となっている教員は、調査したら― 子どもは教師を選択できない。子どもは評価される。保護者のほうで汲み取ってあげないと、子どもが苦しんでいるのを突き出さないと。それを保護者が汲み取って問題にする。教育委員は市民から選ばれているから、汲み取って指導する立場にある。

 手紙で20通、電話で数件、内容を吟味すると問題にしているのは、厳しい保護者の意見。

・ 子どもの心を傷つけた教師には二度と教壇に立ってほしくない。

・ 保護者会でこの教師は支離滅裂(?)なことを言った。保護者123名、職員23名のうち、11名がしつもんしたが、これに対する教員の回答は、残念ながら保護者が納得していない。安心して保護者がこの教員に任せられない。信頼関係がない。

保田) 北川意見に同感。保護者が学校の現状をどう受け止めているかが大事。大きな参考事項だ。

伊東) いわゆる指導力不足はよくうかがっているが、8年の委員任期の中で、保護者、PTAで問題視され、教育委員会に要求が出たのは初めて。保護者からの訴えの手紙を読むと、一部の声ではない、と認識している。

 「指導力不足教員には研修を組み立てていく」と市町村連絡会で多摩研の平島先生の話を聞いた。ステップアップ研修、いいことだ。本対象者は、授業を参観しても、子どもを把握していない。授業が計画的に進められていない。研修が必要だ。

中) 従軍慰安婦の授業を否定しない。学校の教育全体で取り組むべき。そのために年間指導計画が必要であって…。それ以前の問題として、子どもたちが授業に参加していない。中学校の基礎基本をやらないで、それを当てるのは問題だ。

北川) 手紙の意見の中で、実習を入れてほしい。添加物をやるより実習を一つでも教えてほしい、とある。ジャーナリストに生徒の電話番号を教えたことに抗議があった。教科書があるのだから、使ってほしいというのもある。

中) 教科書を超えて教えるということは多々ある。使わないのは問題だと言う判例はあるか?

北川) 伝習館判決で、「教師には教科書の使用義務がある」とある。教科書を中心としつつ、教師の裁量の中でやるのはいいということ。

保田) 指導力不足の一つの理由に、校長から年間指導計画を出せと再三言われたのに出さない。基本の計画のもとにプラスαで生徒に望むのがいいと思う。

伊東) 5月26日の多摩中の運動会、昨年今年聖桜祭に行った。聖桜祭における家庭科の展示、数点のみ。学習の形が反映されている。

北川) PTA会長が、「学校の中の問題に、保護者や子どもを巻き込まないでほしい、として、@外部の人を学校内に入れないこと A多摩中の名を明記し、不安、不信を抱かせるような内容の文章を校区内外に配布しないこと B外部の人に保護者の許可なく生徒の電話番号を知らせるな という要望が正式に出ている。このようなことが起きる原因を解決しなければ。

保田) 一つの現象を反対から見ると、違う現象がある。多摩中の生徒の中に先生から気持ちが離れている。授業に出たくない生徒が非常に多い。

 こちら(教育委員)も、指揮監督、どうなっているかと指摘も受けている。

中) 信頼関係が結ばれてもなおかつ問題が多いのが中学校。

北川) 保護者が保護者会で発言したことを真摯に受け止めねばならない。「『辞めさせられる』ということばは、隣のおばさんとなら(話しても)いいが、動揺が広がる子どもたちに話すのは問題だ。授業でも、今後もそういう授業(注:従軍慰安婦)をすることは認められません」という発言を受け止めねばならない。

伊東) 結論を出したい。指導力不足の手続きは適切にされると思うので、不採択にする。

北川) 妥当だ。

採択に賛成の者の挙手を求め、挙手する者なし。不採択になる。

A教育長・指導室に対する指揮監督についての請願

 多摩市教育委員会 中 進士 委員長 殿

〈請願事項〉

 多摩市立多摩中学教諭・根津公子さんに対して、現在多摩市教育委員会教育長・指導室の指導の下に進められている「指導力不足等教員の申請」とその手続きは、いわれのない誹謗・中傷であり、人権を踏みにじる不当不法なものです。これが放置されれば、多摩市の学校教育はその存立をも危ぶまれることになります。貴委員会に指揮監督上の解怠が生じているとせざるをえません。上記手続きの進行に対して、これを中止するとともに速やかに人権無視の教育行政の改善を求めます。

〈請願理由〉

 本年8月、2002年度から全国の小、中学校で使用される教科書の採択作業が終了しました。今回の教科書検定は、中学校の歴史ではっきりと「従軍慰安婦」について記述したものが1社しかないこと、自国中心主義の物語を描いて近隣アジア諸国への侵略・植民地支配などの記述に疑問の多い扶桑社版の中学歴史を合格させるなど、内外から広範な批判の声が投げかけられていたものでした。

 多摩市立多摩中学では授業で「従軍慰安婦」を取り上げた根津公子教諭が、「適格性に問題」とレッテルを貼られ、保護者会への参加を拒否されるなど日常的な言論も制限されるとともに校長・教頭はじめ市教委・指導主事などの監視に晒され、事細かな職務命令、事情聴取の強制、根堀り葉堀りの中傷を受けるなどの重大な人権侵害が公然と行われてきました。

 根津教諭は家庭科を担当していますが、「男女平等・男女共同参画」を扱った授業が「学習指導要領を逸脱する」「家庭科の授業ではない」という虚偽の宣伝が多摩中学校管理職によって、保護者・生徒に繰り返しおこなわれました。なにか特別の授業がなされているかのような偏見、先入観が意図的に醸成されようとし、いたずらに保護者・生徒に不安や動揺を広げるような事態となっていました。

 しかし、多摩市は数年来「女と男がともに生きる行動計画」の中で、「男女平等・男女共同参画」について家庭科の授業で取り上げることを提案してきました。家庭内の性別役割分業、ドメスティク・バイオレンス、労働における賃金差別など、日本社会には根深い男女間の矛盾がよこたわっています。中学生も深刻な性的暴力に晒されている現実があります。日本の社会で家庭科をまなぶことの重要な根幹として「男女平等」の授業があるといえます。そこには生と性の問題、性と男女平等、人権の問題を踏まえつつ、平和の切実さを実感する教育として、中学生に考えて欲しい意義深い内容があります。「従軍慰安婦」とされた人々の多くは15歳前後の少女たちでした。同年代の中学生の時期にこそ学んで欲しいことであり、また子ども達には学ぶ権利があります。学校としても積極的な取り組みが企図されてしかるべき課題であったはずです。

 しかし、教育長・指導室は本年3月以降、根津教諭への「事情聴取」の呼び出しと「授業監視」を繰り返して「処分」の脅迫をおこない(着任したばかりの原田室長は6月市議会で「教育公務員として適格性に問題がある、学校の範疇を超えた問題。」と殊更に極端な答弁を行ってきたことには、危惧の念を抱かずにはおれません。)根津教諭の家庭科の授業の創意工夫や社会的現実に即応した積極面の当然なされるべき評価には口をつぐんで、ただ処分の口実を探し出すために異例の長期授業監視が続けられました。また学校管理者は、権力の濫用としても過言ではない手法で根津教諭への虚偽の宣伝を執拗におこない保護者・生徒を混乱させました。多摩中学管理職の言動が全く不当なものであることは明らかです。またこれを指導してきた教育長・指導室の責任は重大であるといわねばなりません。

 多摩市教育委員会は教員による主体的な授業の取り組みを尊重すべきですし、授業への不当な支配介入を直ちに停止すべきです。私たちは教育基本法の精神を尊重し、子どもの学ぶ権利を保障するよう強く求めるものです。子ども達の教育を受ける権利は、真理を探究する権利でもあります。学校と教育委員会が子どもの権利を蔑ろにする事態は決して許すことはできません。それは学校教育の根本からの否定をも意味します。

 以上、現在進められている「指導力不足等教員の申請」とその手続きは、教育長・指導室の錯誤に充ちた「処分方針」にのみ原因するものであり、貴委員会はこの申請について再審査の上、その撤回を指導すべきものであり、手続きの停止を促すべき責任があります。  

 迅速な対処が必要と考え、上記の通り請願します。

                           2001年10月25日

        連絡先 教育の自由を考える市民集会実行委員会

            代表 小山七積 (他21名別紙)

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11月15日号亀子新聞

11月14日現場リポート

☆「許さない教員の会」都庁前チラシ配り

☆都教委新井課長と
「支える会」及び支援者との話し合い                     
 

                      

11月14日(水)午前8時〜9時 「校長のデッチ上げを許さない教員の会」と応援支援者10数名による都庁前早朝チラシ配りがなされた。8時都庁第2庁舎前広場に集合、ビラ折りをしていると警備員から退去するように言われた。広場でのチラシ配りも禁止と言う。こんな風に毎日ホームレスの人も追い出しているのだろうと思いつつ、広場外の通行量の多そうなポイント6箇所程に分散し、チラシ配布をはじめた。都庁玄関前では警備員がチラシの内容をマイクでどこかに報告していた。

肌寒い朝の登庁時、すんなり受け取る人は少ない。年配の支援者の方から「東京都教育庁の問題です、と言って渡すといいよ。」とアドバイスを受けた。なるほど管理職世代がうけとっていく。やはり亀子の甲より年の功だ!。こうして「許さない教員の会」と応援支援者による都庁前抗議アピールは、1時間程でチラシ2000枚近く配り終わり、解散した。   

      ―――――――――――――――――――――――― 

11月14日(水)午後3時40分 都庁第1庁舎1階ロビーにて支援者22名が集合。

4時より都議会PRコーナー談話室にて、都議 執印まち子氏の仲介で新井清博職員課総括課長、国正孝治職員課服務係長と、10月29日、11月5日に提出した意見書等の返答を求めることも含む話し合いの場が30分ほど持たれた。

(質問答え要約、一部のみ記載、順不同)

質問)判定会は開かれたのか?

答え)業務手続きをながすのは問題と思っている。

質)根津さんより委任状を預かっているので答えて欲しい。

答)一般的に身分上の扱いについて出すことは問題。

質)一般論の解釈で根津さんに判定をだすのか。一般論でなら答えられるでしょう。

質)出張命令書が根津さんに出されていないが、正式な弁明の場として理解して良い
のか

答)都教委が命令書を出す。意見を聞く会である。一般論として意見を生かすために
開いた会である。 

質)記録も取っていないと聞く。どうやって判定会に伝えるのか。

答)記録は取ってある。具体的には答えられない。

質)質問書Fにも書いてあるが、研修命令が決定して命令が出た場合、不利益処分と
は考えないのか。物理的、時間的に不利益を被らない通常の教員の状態とは違う。

答)身分に関わる問題ではあるが処分ではない。

質)どの部分で研修が必要なのか。

答)身分に関することは都民に話せない。

質)ぜんだんはないのか。研修センターでしかできない研修とはなにか。

答)研修センター週4日、学校1日など幾つかある。

質)適正な手続きは公正な判断のための担保であるはずだ。

答)研修が必要な事は校長を通じてきている。

質)弁明で根津さんが校長の実態を伝えている。そのことの判断、判定はどうなの
か。

質)何が問題とされているのか。

答)保護者、市民から上がっている、授業内容とその周辺のことだ。1人で判定会を
やるわけではない。

質)判断の基準が都の要項であったり、文部科学省の教育三法であったり答えがか
わっている。

答)教育三法も参考にするということだ。

質)どうみても指導力不足ではないと確信している。三法にはいろいろな解釈があり、乱用してはいけないとされている。私たちは4回の新井課長との話し合いを公正性の担保と考えている。不安定な判断はしないと信頼している。制度の主旨にのっとりやって欲しい。根津さん1人の問題ではなく教員、地域、子ども達に対し学校全体の問題 として考えて欲しい。

答)制度の主旨に乗っ取ってやる。

質)この時期にやる緊急性があるのか。(*1)事件、事故とは違う。

執印氏)その点は私もお尋ねしたい。

答)お話できない。

執印氏)時間がきてしまった。議員が引き継いでやっていきたい。

          
―――――――――――――――――――――――――――――

* 1―指導力不足教員制度の概要 B申請及び決定

都立学校の教員については校長が、区市町村立学校の教員については当該区市町村教育委員会が、それぞれ、東京都教育委員会に対して、調書を添えて指導力不足教員の申請を行う。申請を受けた東京都教育委員会は、申請のあった教員について、提出された調書などをもとに個別に検討し、指導力不足教員とするかどうかを決定する。なお、指導力不足教員の申請及び決定は、原則として教員の定期異動(4月1日)の時期に合わせて、年1回行う。(教育委員会月報12.10)

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2001年10月29日

東京都教育委員会 教育庁

人事部職員課課長 新井清博 様

根津さんの事情聴取における十分な審理と公正な判断を求める

要請 並びに 質問書

考え、判断する子どもたちを育てる教育を!市民の会

(田中 186-0426-64-5602)

 多摩市立多摩中教諭根津公子さんは、長年に渡り家庭科教諭として中学生にとって実りある教育を実践し、成果を上げており、教え子やその保護者の間で、また、家庭科のみならず他教科の教師や、教育にたずさわる人々、教育に関心のある市民の間でも全国的に評価が高いすばらしい教師です。その根津公子さんを指導力不足教員とし
て多摩中前島校長が申請したことは、判断の誤りであり、不当であると私たちは考えますが、手続が始まった以上、十分な審理と、公正かつ冷静な判断をなされるよう、強く要請いたします。

 この10月に、根津さんに対して、「指導力不足教員判定における当該教員の聴聞・弁明の機会」が3回行われました、この一連の手続の中には、さまざまな疑問点と不明点、矛盾点があると私たちは考えます。また、この手続と、貴課と私たちの会見において、私たちに説明があったこととの間には、矛盾点もいくつか存在しています。以下、それらについて記しますので、誠意をもってご回答くださるよう、お願い申し上げます。また、これらの要請並びに質問に対する文書での回答も合わせて求めます。

質  問

1. 第1回10/2(火)と第2回10/4(木)、第3回10/22(月)と、「弁明手続(事情聴取)」がもたれました。しかし、これらのいずれにおいても多摩中の前島校長からは弁明手続であるとは告げられましたが、時間と場所のみを指定されたメモ書きだけを渡され、正式な出張命令書は受け取っておりません。行われた手続は「指導力不足教員判定における当該教員の聴聞・弁明の機会」と正式に理解してよろしいでしょうか。

2. また、その会合参加のメンバーの人数、名前、役職・肩書き等をお知らせください。また、この場に原田多摩市教委指導室長が出席していますが、原田室長はいわば当事者であり、判定会のための公平な聴聞手続には原田氏の参加は不適切だと考えられます。原田室長のこの場における位置付けを教えてください。

3. 10/10(水)の貴課と私たちの会見において、今回根津教諭の件に関し、指導力不足教員判定の基準として文部科学省が挙げている以下の三点に従って判定することを、新井職員課長は明言しました。

(1) 教科に関する専門知識、技術等が不足しているため、学習指導を適切に行うことができない場合

(2) 指導方法が不適切なため、学習指導を適切に行うことができない場合

(3) 児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠け、学級経営や生徒指導を適切に行うことができない場合

10/22の「弁明手続(事情聴取)」において、森管理指導主事から、根津さんが弁明すべき事柄として以下の四点が示されました。

(1) 年間指導計画が出されていない。

(2) 農薬などについての授業内容が、中学校家庭科の学習指導要領とどう関係しているのか。

(3) 授業監察にあたって学習計画をどうして出さないのか。

(4) 生徒が授業ボイコットしたことに対して、どのように対応したのか。他の生徒に対してはどうしたのか。

  この各々について、上記文部科学省の基準のどれに当てはまるのか示してください。

4. 10/4(木)の「弁明手続(事情聴取)」においては、以下の二点について弁明するようにということだったと思います。

(1) 授業のやり方、進め方について。

(2) 保護者や生徒から苦情があることについて。

しかしながら、22日には、上の4点について説明を求められたのであり、この二点とは整合しておりません。この点について釈明していただきたいと思います。

5. 10/22(木)の「弁明手続(事情聴取)」においては、「保護者からの苦情は問題とされない」、と確認されたと聞いております。先の文部科学省の基準によれば保護者との関係については、その要件に挙げられておりませんので、その判断は適切だと思います。保護者との関係については問題にしない、ということをもう一度明言してください。

6. 10/22(月)の「弁明手続(事情聴取)」においては、「職務命令は指導力不足教員の判断材料にはしない」、ということをそちらは明言しました。校長の申請書にも、職務命令違反については理由にされていないはずです。しかしながら、第3回の「弁明手続(事情聴取)」において示された四点の(1)と(3)は、前島校長によって出された職務命令の内容です。この矛盾について、納得の行く説明をお願いします。また、校長の申請したもの以外のことを判断材料にすることはない、ということを確認してください。

7. 中学校の現場を外れて研修センターに異動させることが、教員に対して不利益を与えることではないと認識しておられますか。

A 不利益でない、とすればどうしてなのか、その理由を示してください。

B. 不利益であるとするならば、指導力不足教員として判定することが、どうして処分でないのか、説明してください。

8. 10/22(月)の「弁明手続(事情聴取)」において、時間内に根津さんが弁明をしたすべての項目に沿って、その弁明を聞いての、それぞれについてのそちらの見解を説明願います。

9. 前島校長の作為的行為が疑われている状況で、今週行われる予定の「弁明手続(事情聴取)」を最後に、「指導力不足教員判定における当該教員の聴聞・弁明の機会」を終了するのは、適正手続の関係からいかがお考えなのか、ご説明ください。

10. 根津さんを支持する同僚や保護者、市民の声を判定会で適切に考慮していただけるのかどうか、お答えください。

11. 「弁明手続(事情聴取)」で録音したテープの内容を、議事録として文書で保管しない合理的な理由を説明してください。判定の資料として、議事録がないのでは公平な判定が不可能であると思われます。「弁明手続(事情聴取)」に参加しておられない方々に公正な判断を行うための資料をどのように提供するのか、教えてください。

12. 前島校長から事情を聞くということはあるのかどうか、お答えください。

13. 判定会が行われる期日がいつごろなのか教えてください。

以 上


2001年11月5日

東京都教育委員会 教育庁

人事部職員課課長 新井清博 様

根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求めます!

考え、判断する子どもたちを育てる教育を!市民の会

(田中 186-0426-64-5602)

                         

 多摩市立多摩中学校教諭根津公子さんに対する「指導力不足等教員」の判定に関する手続に関して、法的観点からみて手続上重大な瑕疵があり、そのため今週行われる判定会において、法に基づいた公平な判定がなされないことをわたしたちは大変危惧しております。したがって、この手続自体を中止するか、そうでなくとも、公平な判定の条件を確保するために、憲法によって保障される適正手続に即した聴聞手続および事実の徹底的な調査を求めます。理由を以下に述べます。

1. 都教育庁は「指導力不足」の判定を「処分」ではない、と主張し、校長の調書および市教委の申請書に挙げられている「指導力不足」の認定の理由を開示することを拒否しております。しかし「指導力不足等教員」の認定が「処分」に当たらない、という主張には根拠がありません。したがって、この手続全体が憲法によって保障される「適正手続」の要件を満たしていない違法なものであると考えられます。

 東京都作成の「要綱」の第二によると、「指導力不足等教員」とは、「指導力不足等により児童・生徒を適切に指導できないため、人事上の措置を要すると決定された者」と定義されております。ここで「人事上の措置」は、「学校等において」指導を行うものと「指導力ステップアップ研修の受講者」の二つが想定されています。この「人事上の措置」により、「指導力不足教員」は「指導」を受けることが義務づけられます。これは「直接国民の権利義務形成しまたはその範囲を確定する」という最高裁のいう「処分」の定義に該当すると思われます。特に「指導力ステップアップ研修の受講者」については、法律上の勤務校を離れて都研修センターへの勤務が義務づけられ、実際の勤務校においては「配当定数外」とする、との規定がみられますので、これは、実質的には配置換えに類似する行政権の行使であると思われます。また、2001年に制定された「地方教育行政の組織および運営に関する法律の一部を改正する法律」によりますと、「児童又は生徒に対する指導が不適切」な教員についての人事上の措置について、人事委員会への不服申立が認められており、この判定は明確に処分である、という位置づけがなされております。今回の措置によって「指導力不足等教員」とされた場合、新法が施行された後には、そのまま新法における「不適切」な
教員に認定される恐れもあります。その場合、処分ではないとした都教育庁の判断と処分であるとする新法の間の齟齬が問題とならざるをえないでしょう。そのような事態を見据えた場合、現在の手続において、都教育庁が、「処分ではない」という立場に立つことは合理的な態度ではないと考えられます。

 以上の理由から、今回の認定は「処分」と考えられるべきであり、理由の開示を含む適正手続の遵守が必要不可欠であると考えられます。一人の人間の処遇を決定する重大な手続です。日本国が自由民主社会であるのならば、首都の教育行政が、法を無視する不公正な手続を取るようなことがあってはならないと考えます。

 

2. また、今回の事件において、前島校長が提出した「調書」が公平でない立場からなされた疑いが高く、その事情についてきちんと調査することなしに判定会を開くのは、公平な手続の観点から問題が多いと思われます。前島校長は、自分が主催した保護者会において根津教諭の発言を封じ、保護者と根津教諭が直接コミュニケーションを取ることを禁止することに典型的にあらわれているように、両者の対立を故意に煽り、根津教諭が問題のある教員であるかのようにしたてあげた可能性があります。もし保護者から不満が出た場合、本来校長は教員と保護者との間に入って、両者の対立を解消する職務上の義務があると考えられます。しかしながら、前島校長はその義務を遵守するどころか、保護者に対して率先して根津教諭の「問題性」を主張しました。

 以上のような校長の態度を考慮するならば、今回の校長の調書に基づく申請は、自分が気に入らない根津教諭をいわば狙い撃ちにした可能性があり、その公平性が大いに疑われるものです。このような可能性が指摘されているにも拘わらず、都教育庁はこの件について特に調査をした、ということは聞いておりません。調書自体の公平性について疑いがある以上、手続自体を一旦中止し、この点について十分な調査する必要があるように思われます。

3. さらに、今回の前島校長の調書は「指導力不足等教員」という制度の趣旨に適合したものだったか非常に疑わしいものです。つまり、前島校長が問題にしたのは、「指導力」ではなく、根津教諭の授業の内容であった可能性が高いのです。同校長は、「従軍慰安婦」「男女共生」の授業実践に対し、保護者と生徒に対し、「学習指導要領に適合していない」と日頃から説明していたと聞きます。また、同校長は、保護者会を自ら開催し、その場において、自らの政治信条に基づき、率先して根津教諭の授業実践を攻撃しました。しかし、新潟大学法学部の成嶋隆教授が東京都教育委員会に提出した意見書に示されているように、根津教諭の教育実践は、法の観点から全く問題のないものです。したがって、前島校長は自己の政治信条に基づいて、それとは異なる授業実践を行う根津さんに対して、故意に不利益を与えようとして、今回の手続を進めた可能性があります。そうであれば、この手続全体が「指導力不足等教員」の本来の趣旨から逸脱した法の濫用行為である疑いがあります。

 もし東京都が、口先だけでなく、本気で男女共生社会を目指し、人権推進を主張するならば、根津教諭の授業実践に対して、「男女共生、従軍慰安婦は学習指導要領に無い。学習指導要領違反だ。あれは、家庭科ではない」と保護者や生徒に説明した校長の言動と、それが与えた保護者・子どもへの影響に対して、調査がなされるべきだ
と考えます。それをせずに、根津教諭のみを「指導力不足等」と認定するならば、それは著しくバランスを逸するという批判を免れないのではないでしょうか。

 都教育庁はこの点に関しても、前島校長に対する事情聴取を含め、十分な調査を行う義務があると考えられます。そうでなければ、「人権教育」「男女共生」を謳う東京都の教育行政の姿勢自体が疑われることになるでしょう。

4. さらに、今回の手続全体に関してですが、「要綱」は、申請および判定会について「指導力不足の決定は、原則として教員の定期異動の時期に行う。ただし緊急を要する場合にはこの限りでない」と定めております。9月に行われた申請書提出もこの点で問題がありますが、それだけでなく、都教育庁が今週中に判定会を行うことは、この規定に違反している可能性があります。根津教諭について、他の教員と比べて、少なくとも「緊急を要する」ほどに、指導力について問題があるとは、全く考えられません。市教委と都教育庁は、今回の手続が「緊急を要する」と判断したことについて、その合理的な理由を明らかにする必要があるように思われます。

 今週中に判定会が行われ、根津教諭が「指導力不足」と認定された場合、現在根津教諭の授業を受けている生徒にとっては、大きな衝撃だと思われます。生徒の学習権に配慮するならば、緊急性の要件は実質的なものである必要があるように思われます。教育庁は、根津教諭に関する手続が、学習権への配慮を覆すほどの「緊急性」が
あるという点について合理的な理由を示すのでなければ、判定会を開くことはできないように思います。

 根津教諭の教育実践は、判定会の基準とされる文部科学省の見解に照らしても、「指導力」の点で、他の教員と比べて明らかに問題があるとは到底考えられません。そのことを、授業観察に来られた方はおわかりのことだろうと思います。「指導力不足等」とされる理由がきちんと示され、そのための十分な聴聞の機会を保障する「適正手続」の要件に則って判定が行われるならば、根津教諭の教育実践は、「指導力不足」として認定されるはずはないと考えられます。

教育庁はこの点、憲法に適合した公平な手続をとることを拒否しております。しかしながら、公正な手続が憲法上要請されるのは、決定自体の「正しさ」を確保するためであり、したがって、適正な手続を無視すればするほど、その判断の客観性は疑わしくなるように思われます。また、上で述べたように、前島校長と多摩市教委の今回の申請手続自体に重大な法的問題点が存在するのであり、そのことについて十分調査することなしに、現段階で判定会を開催することは、「公平性」の観点から非常に問題があります。さらに、上のような問題があるにも拘わらず、要綱で規定されている「緊急性」の要件を無視して、今週中に判定をしてしまおうとする教育庁の行動は、およそ「正しい」判断をしようとする姿勢を欠いているものだと批判せざるを得ません。

以上のように、現段階においては公平な判断が行われるための条件が確保されているとは全くいえず、判定会で出される判断は、非常に偏ったものになることが予想されます。したがってわたしたちは、判定会の開催に強く抗議します。    

21世紀の日本社会は、これまでよりも「公正さ」が求められると考えられます。21世紀の首都東京の教育行政が、公正」を重要視する未来の自由民主主義社会を展望できるようなものであってほしい、というのが、わたしたちの願いです。教育行政がいつまでもこのような不当な手続を行っている限り、真の自由民主主義社会は築けないのではないでしょうか。



以下、都庁前チラシ内容

石原都政下で、学校に自由がなくなった!

締めつけられているのは誰? 教員ではないから「関係ない!」ことでしょうか。子どもへの影響だけでなく、学校を通じて地域も皆さんも締めつけられる日が来るのです。

都庁に働く皆さん、都庁においでの皆さん、東京の学校の現状を知ってください!


新採用教員も夢破れて! 今、東京の新採用教員は生き生きとしているでしょうか。
以前の新採用教員は、夕闇が迫るまで毎日子どもと遊んでいたなんて逸話もあるくらい、子どもの中に入って生き生きとした教員生活のスタートを切っていました。
しかし、今は、新採用研修会の締めつけが強くなる中で、新採の教員は、授業が終われば直ちに出張です。出張が終われば解放されるかというと、そうはいかないのです。毎晩、毎晩、レポート書きに追われます。クラスの子どものことや明日の授業をゆっくり考える間もないくらい、出張とレポート。その上、職場によっては、校長・教頭による書き直し命令ときては、体を壊さない方がおかしいくらいです。子ども達との生き生きとした毎日を期待して情熱に燃えて教職に入ってきた新採用教員の中から今年も何人もの人が無残にも夢破れて退職しています。


「もっと子どもと接していたかった」「もっと学校での時間が欲しかった」との思いを残して。

経験豊かなベテラン教員を粗末にする校長


40代、50代のベテラン教員、管理職になるよりも子どもといる方が好き、・・・と教員の道を生きてきた人たちが苦境に立たされています。20年、30年と子ども達と接し、保護者と接してきたその実績を踏みつけにする管理職が増えています。自らの貴重な経験をもとに管理職にもきちんと意見を言うベテラン教員に対して、現場経験の乏しい管理職が、「校長の方針に合わないから異動しなさい」と強制してくるからです。
教室経験は10数年にもならないような管理職が、時には自分よりずっと豊かな経験のある教員に対して「平教員」であるというだけで教育方針を押し付けてくるというおこがましさが教育をダメにしていくのです。

校長は偉いか? 教員の世界では、立派な教員が校長になるわけではありません。


教員になって10年ほどすると、一生「子ども」「保護者」とじかに向き合って「教育を司」(つかさど)っていく平「教諭」の道を歩むか、それとも10数年程で教室から離れて「校務を司」っていく管理職になるかを選ぶようになります。それが管理職試験です。
この試験は平教員の道を捨てて管理職になりたい教員だけが受験します。中には子どもの世界から逃げるようにして管理職を目指す人、世間体から管理職を目指す人もいるでしょう。しかし、教員の世界では、平教員の道を歩む人が圧倒的に多いのです。
それは、子どもが大好き、教育が大好きだからです。ですから、学校には「教育を司る」教諭と「校務を司る」校長がいても、教育の内容について上下関係はありません。むしろ「平教諭」こそが国民に直接責任を負って教育をしているので、教育内容については校長よりも教員にこそ権限があるのです。


都教委による根津さんへの指導力不足教員認定を許さない!
こうした東京の学校現場で、一人の教員の現場はずしが画策されて来ました。八王子石川中在職中、中学生達の強い願いをうけて「日の丸」を降ろして処分された根津さんが、異動先の学校で「はめられよう」としているのです。
2000年度の春、多摩市立多摩中に異動した根津さんは今までとおりに家庭科を通じて男女共生教育を進め、環境教育を進め、人権教育を進めてきました。ところが、こうした教育内容を多摩中の前島校長は「学習指導要領違反」であると決め付け、保護者や生徒に「根津先生の授業は学習指導要領には載ってない」と宣伝したのです。
保護者は驚いて緊急保護者会を開き、生徒のうちの数人が根津先生の授業をボイコットしました。


しかし、次第に明らかになったのは、根津先生の授業内容は東京都の消費者教育や多摩市の男女平等の教育指針からみても全く問題ない内容であったということでした。
しかし、このことをきっかけに何とか根津先生の問題をさがし、証拠固めをしようと教育委員会は根津先生の授業監視に入ったのです。こうして9月、校長は根津先生を「指導力不足教員等」として具申しました。保護者に対して教員への不信を故意に煽った校長こそが問われなければならないのに、それを放置したまま、しかも、何をもって「指導力不足」とするのかを明示しないまま、別件逮捕のようなやり方で、東京都教育委員会で判定が進行しています。私たちは、都教委がこうした酷い校長にこそきちんとした対処をし、根津さんへの具申を取り下げさせるようにすることを要請しています。

学校を通じての地域・個人へのしめつけ
これは、過去と未来の話。
60年前までは、「学校で日の丸を掲げなさいって言われた」が家庭への日の丸強制の殺し文句でした。日の丸にも君が代にも縁が無かった多くの民衆に日の丸君が代を浸透させていったのは「学校の教育」でした。


「あの家は『非国民』の家、協力しない家から兵士を出す」これは役所の仕事。
こうして隣近所までがんじがらめにしていったのが戦前、戦争中でした。学校は地域の中にあります。学校が保守化すると地域が縛られていくのです。
新しい学習指導要領の目指すところは「日本人の育成」だそうです。歴史は繰り返すのでしょうか?


11月7日号 亀子新聞 

     根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求
めます!

                     11月6日の都教委への要望書をご覧下さい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――2001年11月5日

東京都教育委員会 教育庁

人事部職員課課長 新井清博 様

根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求めます!

考え、判断する子どもたちを育てる教育を!市民の会

(田中 186-0426-64-5602)

                         

 多摩市立多摩中学校教諭根津公子さんに対する「指導力不足等教員」の判定に関する手続に関して、法的観点からみて手続上重大な瑕疵があり、そのため今週行われる判定会において、法に基づいた公平な判定がなされないことをわたしたちは大変危惧しております。したがって、この手続自体を中止するか、そうでなくとも、公平な判
定の条件を確保するために、憲法によって保障される適正手続に即した聴聞手続および事実の徹底的な調査を求めます。理由を以下に述べます。

1. 都教育庁は「指導力不足」の判定を「処分」ではない、と主張し、校長の調書および市教委の申請書に挙げられている「指導力不足」の認定の理由を開示することを拒否しております。しかし「指導力不足等教員」の認定が「処分」に当たらない、という主張には根拠がありません。したがって、この手続全体が憲法によって保障される「適正手続」の要件を満たしていない違法なものであると考えられます。

 東京都作成の「要綱」の第二によると、「指導力不足等教員」とは、「指導力不足等により児童・生徒を適切に指導できないため、人事上の措置を要すると決定された者」と定義されております。ここで「人事上の措置」は、「学校等において」指導を行うものと「指導力ステップアップ研修の受講者」の二つが想定されています。この「人事上の措置」により、「指導力不足教員」は「指導」を受けることが義務づけられます。これは「直接国民の権利義務形成しまたはその範囲を確定する」という最高裁のいう「処分」の定義に該当すると思われます。特に「指導力ステップアップ研修の受講者」については、法律上の勤務校を離れて都研修センターへの勤務が義務づけられ、実際の勤務校においては「配当定数外」とする、との規定がみられますので、これは、実質的には配置換えに類似する行政権の行使であると思われます。また、2001年に制定された「地方教育行政の組織および運営に関する法律の一部を改正する法律」によりますと、「児童又は生徒に対する指導が不適切」な教員についての人事上の措置について、人事委員会への不服申立が認められており、この判定は明確に処分である、という位置づけがなされております。今回の措置によって「指導力不足等教員」とされた場合、新法が施行された後には、そのまま新法における「不適切」な
教員に認定される恐れもあります。その場合、処分ではないとした都教育庁の判断と処分であるとする新法の間の齟齬が問題とならざるをえないでしょう。そのような事態を見据えた場合、現在の手続において、都教育庁が、「処分ではない」という立場に立つことは合理的な態度ではないと考えられます。

 以上の理由から、今回の認定は「処分」と考えられるべきであり、理由の開示を含む適正手続の遵守が必要不可欠であると考えられます。一人の人間の処遇を決定する重大な手続です。日本国が自由民主社会であるのならば、首都の教育行政が、法を無視する不公正な手続を取るようなことがあってはならないと考えます。

 

2. また、今回の事件において、前島校長が提出した「調書」が公平でない立場からなされた疑いが高く、その事情についてきちんと調査することなしに判定会を開くのは、公平な手続の観点から問題が多いと思われます。前島校長は、自分が主催した保護者会において根津教諭の発言を封じ、保護者と根津教諭が直接コミュニケーションを取ることを禁止することに典型的にあらわれているように、両者の対立を故意に煽り、根津教諭が問題のある教員であるかのようにしたてあげた可能性があります。もし保護者から不満が出た場合、本来校長は教員と保護者との間に入って、両者の対立を解消する職務上の義務があると考えられます。しかしながら、前島校長はその義務を遵守するどころか、保護者に対して率先して根津教諭の「問題性」を主張しました。

 以上のような校長の態度を考慮するならば、今回の校長の調書に基づく申請は、自分が気に入らない根津教諭をいわば狙い撃ちにした可能性があり、その公平性が大いに疑われるものです。このような可能性が指摘されているにも拘わらず、都教育庁はこの件について特に調査をした、ということは聞いておりません。調書自体の公平性
について疑いがある以上、手続自体を一旦中止し、この点について十分な調査する必要があるように思われます。

3. さらに、今回の前島校長の調書は「指導力不足等教員」という制度の趣旨に適合したものだったか非常に疑わしいものです。つまり、前島校長が問題にしたのは、「指導力」ではなく、根津教諭の授業の内容であった可能性が高いのです。同校長は、「従軍慰安婦」「男女共生」の授業実践に対し、保護者と生徒に対し、「学習指導要領に適合していない」と日頃から説明していたと聞きます。また、同校長は、保護者会を自ら開催し、その場において、自らの政治信条に基づき、率先して根津教諭の授業実践を攻撃しました。しかし、新潟大学法学部の成嶋隆教授が東京都教育委員会に提出した意見書に示されているように、根津教諭の教育実践は、法の観点から全く問題のないものです。したがって、前島校長は自己の政治信条に基づいて、それとは異なる授業実践を行う根津さんに対して、故意に不利益を与えようとして、今回の手続を進めた可能性があります。そうであれば、この手続全体が「指導力不足等教員」の本来の趣旨から逸脱した法の濫用行為である疑いがあります。

 もし東京都が、口先だけでなく、本気で男女共生社会を目指し、人権推進を主張するならば、根津教諭の授業実践に対して、「男女共生、従軍慰安婦は学習指導要領に無い。学習指導要領違反だ。あれは、家庭科ではない」と保護者や生徒に説明した校長の言動と、それが与えた保護者・子どもへの影響に対して、調査がなされるべきだ
と考えます。それをせずに、根津教諭のみを「指導力不足等」と認定するならば、それは著しくバランスを逸するという批判を免れないのではないでしょうか。

 都教育庁はこの点に関しても、前島校長に対する事情聴取を含め、十分な調査を行う義務があると考えられます。そうでなければ、「人権教育」「男女共生」を謳う東京都の教育行政の姿勢自体が疑われることになるでしょう。

4. さらに、今回の手続全体に関してですが、「要綱」は、申請および判定会について「指導力不足の決定は、原則として教員の定期異動の時期に行う。ただし緊急を要する場合にはこの限りでない」と定めております。9月に行われた申請書提出もこの点で問題がありますが、それだけでなく、都教育庁が今週中に判定会を行うことは、この規定に違反している可能性があります。根津教諭について、他の教員と比べて、少なくとも「緊急を要する」ほどに、指導力について問題があるとは、全く考えられません。市教委と都教育庁は、今回の手続が「緊急を要する」と判断したことについて、その合理的な理由を明らかにする必要があるように思われます。

 今週中に判定会が行われ、根津教諭が「指導力不足」と認定された場合、現在根津教諭の授業を受けている生徒にとっては、大きな衝撃だと思われます。生徒の学習権に配慮するならば、緊急性の要件は実質的なものである必要があるように思われます。教育庁は、根津教諭に関する手続が、学習権への配慮を覆すほどの「緊急性」が
あるという点について合理的な理由を示すのでなければ、判定会を開くことはできないように思います。

 根津教諭の教育実践は、判定会の基準とされる文部科学省の見解に照らしても、「指導力」の点で、他の教員と比べて明らかに問題があるとは到底考えられません。
そのことを、授業観察に来られた方はおわかりのことだろうと思います。「指導力不足等」とされる理由がきちんと示され、そのための十分な聴聞の機会を保障する「適正手続」の要件に則って判定が行われるならば、根津教諭の教育実践は、「指導力不足」として認定されるはずはないと考えられます。

教育庁はこの点、憲法に適合した公平な手続をとることを拒否しております。しかしながら、公正な手続が憲法上要請されるのは、決定自体の「正しさ」を確保するためであり、したがって、適正な手続を無視すればするほど、その判断の客観性は疑わしくなるように思われます。また、上で述べたように、前島校長と多摩市教委の今回の申請手続自体に重大な法的問題点が存在するのであり、そのことについて十分調査することなしに、現段階で判定会を開催することは、「公平性」の観点から非常に問題があります。さらに、上のような問題があるにも拘わらず、要綱で規定されている「緊急性」の要件を無視して、今週中に判定をしてしまおうとする教育庁の行動は、およそ「正しい」判断をしようとする姿勢を欠いているものだと批判せざるを得ません。

以上のように、現段階においては公平な判断が行われるための条件が確保されているとは全くいえず、判定会で出される判断は、非常に偏ったものになることが予想されます。したがってわたしたちは、判定会の開催に強く抗議します。    

21世紀の日本社会は、これまでよりも「公正さ」が求められると考えられます。21世紀の首都東京の教育行政が、公正」を重要視する未来の自由民主主義社会を展望できるようなものであってほしい、というのが、わたしたちの願いです。教育行政がいつまでもこのような不当な手続を行っている限り、真の自由民主主義社会は築けないのではないでしょうか。


亀子新聞11月6日号

都教委要望書提出

2001.11.6

                      速報☆

都教委へ要望書提出

2001年11月6日(火)10時40分 早朝の緊急連絡にも関わらず13名の支援者が、都庁第2庁舎1階ロビーに集合した。『根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求めます!』の要望書を持って28階教育庁人事部へ行った。事前に申し入れしてあったが、新井清博職員課総括課長、国正孝治職員課服務係長は不在で急遽ウラベ(漢字未確認)職員課課長補佐が出てきた。こちらに来てください、というのでついていくと人事部前のエレベーターの所で要望書を受け取るという。支援者が内容を理解して貰うための説明を申し出たが、受け取るだけで聞く必要はない、と拒否。前回の意見書も未回答で、返答の出来ない理由も聞いておらず、新井課長にきちんと渡っているのか?とウラベ氏の対応に不安を覚えた支援者は、確かに受け取ったという修受印かサインを要求。更に書面に管理番号をふり、ファイルにして保管し、情報開示請求の時は記録として残るようその旨申し出た。しかしそんな必要はない、とあくまで拒否。部屋に入りしばらく押し問答が続いたが、ウラベ氏は「こんなもの受け取れない!」と突然部屋を飛び出し、ろうかの非常口ドアから階段を駆け上がり逃げてしまった。びっくりした支援者も後を追ったが、体育系の人なのか脱兎のごとく階段をのぼり、居なくなってしまった。理にかなった説明を心がけていた支援者は、このあまりに子どもじみた都教委職員の対応に皆唖然としてしまった。

部屋の前に戻り、対応に出てきた職員課主任 波多、師岡、大島3氏に人事部の組織としてきちんとした対応を求めた。都教育委員会月報の指導力不足教員に関する解説のなかにも校長や一部の保護者の情報を鵜呑みにしないと書いてあることをあげ、客観性の重要性を訴えるなどした。座り込みしながらの話し合いのすえ大島氏が相談にいき、12時新井課長があらわれ、要望書を受理した。

新井課長とのやり取り(内容要約順不同)

質問)前回の意見書の回答をもらってないが。

答え)受け取ってはいるが答えるとは言っていない。個人情報なので細かい手続きについ

て説明できない。

質問)3回の話し合いの中で、基準の変更(都の要項から文部科学省の要項へ)があるが 

   なぜか。法の解釈にも触れるのではないか。

答え)都の要項でやる。行政手続きは全て公開はしない。

質問)法の解釈の説明責任があるはずだ。引き続き4回目の話し合いの場を設けて欲しい。

答え)それなりの手順を通して調整してからだ。

☆ 本日提出の要望書『根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求めます!』は後でお送りします。

☆ 都教委へのFAX、はがきの支援報告、いろいろな所からいただいています。ここが踏ん張りどころ

です。皆様ご協力宜しくお願いいたします!               (亀子)


亀子新聞NO2  2001.11.2          緊急通知

根津さんに来週中に判定が出されます。

2001年11月2日15時、根津さんの第4回弁明の手続きが急きょ、京王線笹塚駅近くの東京都就学相談所で行われることになり、支援者25名が急ぎ集合した。徒歩3分程の所にある相談室入り口には、都教委の腕章をした国正服務係長が立ち、ドアの中にも2人の職員が立っていた。根津さんと法定代理人の萱野氏のみが入館、支
援者は傍聴を求めたが拒否された。東京教組も立ち会い出来ず、皆、玄関横の駐車場で待機した。このころ更に支援者が増え36名になった。16時45分根津さんと代理人が退出し、即座に玄関がロックされた。その後、駐車場で報告がなされた。すでに日が暮れて肌寒くなっていた。(内容要約)

―10月4日と22日では求める弁明の内容が異なり、今回22日の内要についての弁明になった。その際本人作成の「弁明2」の書類が提出され、それにそって説明された。

都教委からは森、井出、新井3氏の人事部指導方が出席した。そして「指導力不足」に関してより、職務命令がより問題にされた。又今回も正式な職務命令書でなく原田室長サインの書類コピーのみ見せられた事、弁明の手続きの場の設定が早急な事などは、校長、市教委が伝達を故意に操作していることが判明した。こうした事がいまま
でも随所にあったことを訴えた。

法定代理人の萱野氏から、意見書をさ来週提出の申し出を受けた都教委は、来週中に判定を出すようなことを匂わせた。更に都教委は、あくまで意見書には関係なく判定を出すこと、今回は本人の申し出により文書にかわる最後の機会であること、弁明でもなく事情聴取でもない意見を聞く会である事などを説明した。この間都教委ではなく何故か市教委の担当者がテープを回し記録していた。―

待機していた支援者から新井人事部職員課長に、29日提出の意見書の回答を求める要求が再三出されたが、最後まで現れなかった。


2001.11.4

家庭科ってなあに?

根津さんの「弁明2」をみんなで読もう!

先日、根津さんの支援者の方々の話し合いの場で、「家庭科は料理、裁縫という古い認識が私たちにある。家庭科とはなにかということを勉強会などで学ぶことも大切」という発言があり、心に残りました。根津さんの家庭科の授業に対する、教育委員会、校長の言いがかりともいえる数々の対応のベースには、「料理、裁縫の家庭科で何故性差別や軍隊慰安婦、農薬のことを教えるのか。」が教育を司る人々にもあると感じます。又市民にしても、先の支援者の発言のように「なぜ家庭科で性差別?」うんぬんの素朴な疑問が同じような認識から出てきます。多くの教員や支える人々の努力によって勝ち得た共修家庭科ですが、更に1歩まえに踏みだし、その共修家庭科とはなにか、を教育現場から外にむかってアピール出来ていたのか問われています。

11月2日都教委意見を聞く会で根津さんが作成した 弁明(2)をお読みいただき(特にCの授業に関する所)メールをお読みの皆様の感想、素朴な疑問、委員会への反論等々およせください。いただいた感想等は無記名で亀子新聞にお載せしたいと思いますが、差し障りのある方はその旨書き添えてください。

☆ 判定に至る申請内要や手続きを不当とし、判定会そのものを無効とする緊急支援体制に入っています。引き続きはがき,FAXなどの支援活動ご協力お願いします。 (亀子)

                        2001年11月2日

東京都教育委員会御中

                   多摩市立多摩中学校 教諭 根津公子

弁  明 (2)

都教委は10月4日の弁明の折、校長から申請のあったことをあげ、それについての弁明を私に求めました。次の2点でした。

(1) 授業の進め方が問題。

(2)保護者・子どもから苦情が上がった。

ところが、10月22日の弁明の際には、次の4点を挙げました。

(3)年間指導計画を校長から何回も催促されているのに、なぜ出さなかったのか。

(4)授業で指導している内容が家庭科の学習指導要領にどう沿っているか。

(5)授業観察に際し、学習指導案を校長から提出を命じられたのに出さなかったのはなぜか。

(6)授業をボイコットした生徒に対しどのように対応したか。また、他の生徒への対応について。

(1)(2)と(6)とは重なる部分がありますが、(3)〜(5)については校長から申請はなく、したがって「判定」資料にしてはいけない内容のはずです。なお、(3)(5)は職務命令違反云々についてですが、都教委自ら4日に「職務命令違反は問題にしていない」(新井氏)と発言しています。

(3)〜(5)について弁明するのは、「指導力不足等教員」の要綱に照らして整合性がありませんから、すべきではない、とも考えますが、都教委の認識をただす意味で、弁明をします。

(3)年間指導計画を校長から何回も催促されているのに、なぜ出さなかったのかについて

 この件については、前回、「H.13.7.19付け、同日FAX送信されてきた文書についての質問」(7.23)を提出して弁明したとおりです。校長が私にだけ出した年間指導計画の書き直し命令は、職員会議での確認とは異なる内容の命令でした。4月の職員会議に年間指導計画記入用紙が配布されましたがそれは一形式に過ぎず、その職員会議で確認されたことは、「どのような形式でもいい」ということでした。なお、昨年度は、「指導書や何かについているもののコピーでも構わないから出してほしい」(9月・肥後教頭)ということでしたから、職員は誰もが「大雑把な年間指導計画でいい」と捉えていました。私は、私が使いやすい形のものを作成し提出しました。しかし、校長は、私にだけ次々に「学習指導要領の項目と対応させて書き直せ」「教科書のページを入れろ」「所定の形式で書き直せ」などと命令してきました。

また、6月19日には渡された職務命令(=年間指導計画にかかわり、「3年3学期の学習指導案を毎時間毎6枚作成し、提出を求めるメモ 日付けは18日」の意味がわからなかったので質問したところ、校長からは「教育委員会から言われたことなのでわからない」との返事。しかし、校長は同月22日にはその発言を否定。こうした嘘を使ったり前言を翻したりしての職務命令。そして、職務命令の内容を、出した本人に問うても答えることができない。そのような人が出した職務命令は、その有効性にはなはだ疑問があります。しかも、私が提出した質問書に校長は今日に至るも、回答をしません。校長の行為は、職権濫用に他なりません。しかし、私は意に反しながらもその都度、校長の命令に沿って年間指導計画を加筆修正し、提出してきました。「出さなかった」ではなく、出しています。

 なお、年間指導計画の提出は、私以外の職員には形式的に求めているに過ぎないことがはっきりしています。

(4)授業で指導している内容が家庭科の学習指導要領にどう沿っているかについて

 普通に考えれば、都教委には、「農産物と農薬」「洗濯と洗剤」の授業内容が学習指導要領に沿っていないとの前提があって、この点について弁明を求めたのだと思います。そうだとすれば、弁明を求める前に都教委は、この授業が学習指導要領に沿っていないことを検証し、それを私に提示すべきだと思います。ぜひ、提示してください。

 順序が逆だと思いますが、ここでは私から先にこの点について、申し述べます。

@「農産物と農薬」について

 「農産物と農薬」を取り上げたのは、農産物を手に入れる際、栄養面での学習に加えて、安全性の学習は欠かせないと考えたからです。学習指導要領の文言では、「H食物」(2)「ウ食品の品質を見分け、用途に応じて適切に食品を選ぶことができること」に該当します。農産物を手に入れる際、現在では、「ア食品の栄養的性質を知ること」だけではこと足りません。それは多少でも食生活に関心を持ち、ものごとを多角的に考える人なら、専門家でなくとも、感じていることです。この学習においては、消費者教育および環境教育の視点に立つことがとりわけ重要だと考えます。こうした視点に立って学習することは、子どもたちにとって、将来にわたり「社会的に責任を持って」生きることの学習になると確信します。

環境教育、消費者教育は、短い学習指導要領の文言には書いてありませんが、教科書では何ページか取り上げています。また、「指導書 技術・家庭編 解説」や「改訂の趣旨」でその必要性について触れています。環境教育、消費者教育は文部科学省・都教委が認め、推進する立場にあります。

文部省が1991年に発行した「環境教育指導資料」によれば、環境教育の目標は、「環境や環境問題に関心・知識を持ち、人間活動と環境とのかかわりについての総合的な理解と認識のうえに立って、環境の保全に配慮した望ましいはたらきかけのできる技能や思考力、判断力を身につけ、よりよい環境の創造活動に主体的に参加し、環境への責任ある行動がとれる態度を育成する。」と定義しています。また、「中学校指導書 技術・家庭編 解説」には次のように記してあります。「人間生活を尊重する立場から技術をとらえ、科学技術の高度な発達や産業経済の急激な発展が資源やエネルギー不足をもたらしたり、生活環境の汚染や環境破壊を引き起こしたりしている現況にかんがみ、資源や環境の問題にも着目し、家庭生活や社会生活を充実向上させるための技術とのかかわりについて理解を深めさせることを示したものである。」さらにまた、新学習指導要領(平成10年)は、「環境に配慮して主体的に生活を営む能力を育てるため、自ら課題を見いだし解決を図る問題解決的な学習の充実を図る」としています。

 消費者教育については、その目的を、日本消費者教育学会は次のように定義しています。「消費者が各自の価値観、理念(生き方)を個人的にも社会的にも責任が負える形で選び、持ち、それに基づいて経済社会の仕組みや商品・サービスについての知識・情報を理解し、批判的思考を働かせながら合目的的に意思決定し、個人的、社会的に責任がもてるライフスタイルを形成し、個人として、また社会の構成員として自己実現していく能力を開発するものである」。また、学習指導要領「改訂の趣旨」には、「消費者としての自覚を育て、健全な家庭生活をめざして実践する態度を養う」と記されています。

 東京都が平成13年2月副読本、「中学生も消費者」を発行していたことを先日知りました。とてもいい内容なのでせめて、学校図書にしてほしいと思いましたが、そこには、「食の安全性」「残留農薬」など、私が授業で扱った内容が記載されていました。これらのことを家庭科で取り上げないとしたら、一体どの教科・どの領域で取り上げろというのでしょうか。教科としては家庭科、および家庭科を取り入れた「総合」の時間でしか取り上げることは出来ないでしょう。

以上、環境教育・消費者教育の指し示すところと、私のその視点とは一致することがおわかりでしょう。

都教委もこの説明に異論はないだろうと推測します。さらに推測するに、都教委の考えは、「深入りしすぎる」「農民の問題(農業政策・流通)は家庭科で扱うことではない」ということではないかと思いますので、この点に触れます。

「自立した消費者」として農産物を選ぶ時、安全性の高い農産物を探し、買い求めることができればそれで消費者問題は解決するでしょうか。当然、「否」です。顔の見えない生産者の声も聴き、消費者、生産者が互いを理解し合い、双方にとって最もよい生産・流通・消費を考えていくことを、私は授業を組み立てる上で考慮しました。「農産物の安全性」の問題は、消費者の視点からだけではなく、「生産者の体への被害」「生産者の仕事に対する姿勢・気持ち」や環境問題を視野に入れて子どもたちに考えさせたいと思いました。どの問題でもそうですが、一面的な視点からは問題は正確に把握されませんし、解決への道筋は見えないと思うからです。子どもたちが、「農薬のかかった野菜は食べたくない」とだけ思うような授業は避けようとしました。子どもたちが生活する場に農家の存在はありませんから、ビデオ資料を使うなど、多少の時間はかかります。しかし、授業時間はたかだか3時間だけのことでした。

ここまでの説明でなお、「深入り」や「全体のバランス」云々の批判があるようでしたら、文部省生涯学習課長(当時)の寺脇研氏の示唆に富んだことばを聴いてほしいと思います。氏は、98年8月号の小学館「総合教育技術」で次のように発言しています。「指導要領は、教師が教えるマニアムの基準をまとめたものに過ぎません。もちろんそれは、子どもたちがそれ以上のことを、学校外はもちろん、学校内で学ぶことを禁止したものでもありません。『指導要領に書いてあることが日本の子どもたちが学ぶことのすべてだ』という意識を変えてもらうということが、今度の『教課審答申』を読むことの前提としてあります。指導要領は、そして学校は、絶対的存在から相対的存在へと変わってきているのです。『たかが学習指導要領』なのです」。

A「洗濯と洗剤」について

 この授業でも、学習指導要領に則していないところが何かが、都教委から指摘はありませんから、推測のもとに論ずるしかありません。ここでも、「深入り」「全体のバランス」をあげるのでしょうか。その前提で話を進めます。

学習指導要領では、「G家庭生活」の内容(3)「ウ被服計画を考え、適切な着用及び手入れができること」と記されています。そこで、洗濯の原理を実験をもとにして学習し、洗剤の選択に移りました。洗剤の学習は、消費者教育、環境教育の視点から授業を組みました。消費者教育、環境教育は、ここでも必要不可欠なことがらです。ここを抜かした洗剤の学習は、実生活に役立ちません。「家庭生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる」(学習指導要領)ことにはなりません。子どもたちには、CMに踊らされる消費者ではなく、将来にわたって「社会的な責任を持って」生きる消費者に育ってほしいと思います。

 以上、「農産物と農薬」も「洗濯と洗剤」も、学習指導要領の趣旨を理解しての授業です。

(5)授業観察に際し、学習指導案を校長から提出を命じられたのに出さなかったのはなぜかについて

7月6日(金)付け職務命令書(メモ書き)「指導主事授業参観 7月10日(火)、11日(水)、12日(木) 上記授業の指導案を7/9(月)までに作成し、提出してください」を指すのですね?

これについての経過を述べます。

7月6日の金曜日に上記メモを校長から渡され、翌7日土曜日に「それは職務命令だ」と言われました。9日の月曜日に、私は授業内容の分かるメモを校長に提出しました。「このメモでこと足りると思いますから、これを提出します」と言い添えて。そうしましたら、11日に、「@指導案とメモは違います。別紙を参考に、明日(7/12)の授業の指導案を作成し提出してください。未提出の場合は必要な措置をとります。」とのメモ書きを渡されました。しかし、私はメモ以上のものを出すつもりはありませんでした。メモも、意に反して出したのです。

ではなぜ、学習指導案を出さなかったかを述べます。すでに22日の弁明の際、「保護者・生徒からの苦情は校長がつくり出した」ものだと申し述べました。授業観察はその中で保護者から要求が出、校長が教育委員会に要請したものだったからです。

元2C保護者会の要求だとして7月3日に校長から、「校長が教育委員会に授業を参観するよう要請してほしい、ということなのですでに要請した」と口頭で伝えられました。そして11日には、「元2C保護者会からの質問・要望」書が校長より渡されました。そこには、「A授業内容に関しては指導要領に沿っているのか否か、また内容が家庭科の授業として適当なのかどうかの判断は、素人ではわからない部分もあるので、校長先生や教頭先生は勿論、教育委員会にも授業参観をしていただき、きちんと根津先生を指導をしてもらいたい。また、どのような内容を取り扱うのか把握していただきたい。B親としては全体保護者会でも要望したように、特に3年3学期の授業に関しては昨年度のような内容は取り扱ってほしくありません。その約束は守ってもらえるのでしょうか。全体保護者会で「考え直す」とおしゃっていたが(ママ)、大丈夫でしょうか。もう1度先生に『やらない』という確認を取らせていただきたい。」とありました。

教育委員会に根津の授業を参観してほしいという要求は、「3年3学期の授業に関しては昨年度のような内容は取り扱ってほしく」ない、すなわち、男女共生、従軍慰安婦、同性愛者を取り扱うなという要求とセットの要求であります。

「教育委員会に根津の授業を参観してほしい」という珍しい要求はなぜ出てきたのでしょう。「3年3学期の授業に関しては昨年度のような内容は取り扱ってほしくない」「男女共生、従軍慰安婦、同性愛者を取り扱うな」という要求はなぜ出てきたのでしょう。それは、職員会議で校長自らが述べたとおり、校長自身が、本年2月に、保護者や子どもたちに話した内容が原因になっているのです。前島校長は、「保護者や子どもたちに、学習指導要領を見せながら『男女共生、従軍慰安婦や同性愛は家庭科の学習指導要領に載っていない。根津先生は学習指導要領を逸脱している。家庭科の時間に家庭科ではないことをやっているのだ』と説明した」からです。

普通の学校で校長はこのようなことをするでしょうか。普通、どこの学校でも、校長は、教員と保護者の橋渡しをすべく努力しているものです。男女共生は憲法から見ても当然のことにすぎません。私たち教育公務員は就職にあたって宣誓書を提出しています。それは、憲法・教育基本法の遵守についての宣誓書です。また、同性愛、従軍慰安婦については、同性愛者への差別的言辞やレイプについての話を子どもたちが面白おかしくするのを、頻繁に耳にし、私は人権教育の必要を感じたのです。人権教育は東京都教育委員会の方針の柱でもあります。まったく問題がないどころか、多摩中の生徒の実態から必要と考えて計画した教育内容について、保護者に理解を求めるどころか、「根津先生は学習指導要領を逸脱している。家庭科の時間に家庭科ではないことをやっているのだ」と説明する校長がどこにおりましょうか。

校長は私に非を認めて謝罪し、かつ、保護者や生徒たちに前言を撤回して私の名誉を回復する措置をとらなければならないはずです。しかし、こうした校長の発言がはっきり取り消されたということは聞いておりません。そのために、「根津は学習指導要領を逸脱している。家庭科の時間に家庭科ではないことをやっているのだ」という話はその後も広められて、「元2C保護者会の要望」になっていったのは火を見るより明らかです。何しろ社会的にも私より地位のある校長先生の権威ある発言なのですから、保護者や生徒をはじめとして地域に大きな影響をもたらしたことは明らかです。このように校長が職権を濫用し、本務を怠り誤った解釈を保護者・子どもに流し続けた揚句に、校長が主催し、出席していた保護者会で、司会をしていた教頭までが「皆さん、ここで言っておかないと後で後悔しますよ」とまで保護者を煽っておいて、ついに授業参観の要求が出るまでになったのですから、責任は校長にあります。私は被害者です。したがって、このような中で行われる授業参観に伴う学習指導案を提出する職務は、私にはないはずです。だから、提出しなかったのです。

むしろ私が声を大にして訴えたいのは、一人の教員が毎日の授業をしていく上で、こうした校長の対応がどれほど、精神的にも肉体的にも私を痛めつけたかということです。校長は、教員が安心して授業に臨めるように環境を整えるべきであって、自らデマを流したり、教員の本務である教育を司るうえで何の支障もない(不備でもない、公文書でもない)書類の書き直しをやたら何度も命じたりすることが校長の職務なのではありません。校長自らの過ちの為に一人の教員が保護者や生徒との意思疎通のうえで危機に立たされたのです。経営に責任をもつ校長としてもっと本来果たすべき役割があったということを訴えたいと思います。

(6)授業をボイコットした生徒に対しどのように対応したか。また、他の生徒への対応について

生徒の苦情・不信も前回申し述べましたように、校長によってつくり出されたもので、私は被害者だということを、まず確認したいと思います。そのうえで、この点に関し、申し述べます。(以下削除)



2001年11月6日(火)10時40分 早朝の緊急連絡にも関わらず13名の支援者が、都庁第2庁舎1階ロビーに集合した。『根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求めます!』の要望書を持って28階教育庁人事部へ行った。事前に申し入れしてあったが、新井清博職員課総括課長、国正孝治職員課服務係長は不在で急遽ウラベ(漢字未確認)職員課課長補佐が出てきた。こちらに来てください、というのでついていくと人事部前のエレベーターの所で要望書を受け取るという。支援者が内容を理解して貰うための説明を申し出たが、受け取るだけで聞く必要はない、と拒否。前回の意見書も未回答で、返答の出来ない理由も聞いておらず、新井課長にきちんと渡っているのか?とウラベ氏の対応に不安を覚えた支援者は、確かに受け取ったという修受印かサインを要求。更に書面に管理番号をふり、ファイルにして保管し、情報開示請求の時は記録として残るようその旨申し出た。しかしそんな必要はない、とあくまで拒否。部屋に入りしばらく押し問答が続いたが、ウラベ氏は「こんなもの受け取れない!」と突然部屋を飛び出し、ろうかの非常口ドアから階段を駆け上がり逃げてしまった。びっくりした支援者も後を追ったが、体育系の人なのか脱兎のごとく階段をのぼり、居なくなってしまった。理にかなった説明を心がけていた支援者は、このあまりに子どもじみた都教委職員の対応に皆唖然としてしまった。

部屋の前に戻り、対応に出てきた職員課主任 波多、師岡、大島3氏に人事部の組織としてきちんとした対応を求めた。都教育委員会月報の指導力不足教員に関する解説のなかにも校長や一部の保護者の情報を鵜呑みにしないと書いてあることをあげ、客観性の重要性を訴えるなどした。座り込みしながらの話し合いのすえ大島氏が相談にいき、12時新井課長があらわれ、要望書を受理した。

新井課長とのやり取り(内容要約順不同)

質問)前回の意見書の回答をもらってないが。

答え)受け取ってはいるが答えるとは言っていない。個人情報なので細かい手続きについ

て説明できない。

質問)3回の話し合いの中で、基準の変更(都の要項から文部科学省の要項へ)があるが 

   なぜか。法の解釈にも触れるのではないか。

答え)都の要項でやる。行政手続きは全て公開はしない。

質問)法の解釈の説明責任があるはずだ。引き続き4回目の話し合いの場を設けて欲しい。

答え)それなりの手順を通して調整してからだ。

☆ 本日提出の要望書『根津教諭の「指導力不足教員判定会」の中止を求めます!』は後でお送りします。

☆ 都教委へのFAX、はがきの支援報告、いろいろな所からいただいています。ここが踏ん張りどころ

です。皆様ご協力宜しくお願いいたします!               (亀子)


 亀子新聞NO1 ご挨拶 戻る


いつもメールをお読みいただきありがとうございます。根津さんの状況は毎日目まぐるしく変わっています。すこしでもリアルタイムに近い御報告がお届けでき、皆様の支援活動のお役に立てたらと思います。


この度、メール名を「亀子新聞」と名付けました。福山亀子は私のメールネイムです。根津さん支援活動の喜ばしい成果を願って、お目出度い亀の文字にしました。ご意見、ご感想、こんな支援活動しています、のご報告、支援方法のアイデア等々もお寄せ下さい。 2001.11.1

☆いつもメールをよんでくださる皆様へ
10.22参加報告をお読みいただけたとおもいますが、今回根津さんの農産物と農薬についての授業が問題にされています。根津さんの話によると、授業監察の日程から、1年生に行った洗剤の授業も含まれるかも知れないとのことです。その報告を聞いて、その場にいた支援者(私も含めて家庭科教師ではありません)から「そんな内容まで問題にされて、どうやって家庭科の授業をすればいいのか!」と驚きと怒りの声があがりました。

前回は共修家庭科の精神とも言える、性差別をなくすための授業、今回は生活に密着した農産物の農薬につい、とまあ、これでもかこれでもかという感じです。7月に毎日新聞で連載された「家庭科は今」の中で、「社会に順応して生きる力でなく、生きていくために社会を変える力をつける」「生活に根ざした授業をすればするほど、教科書通りでは物足りなくなる」等、家庭科の本質をつく指摘がかずかずの実践報告と共にありました。

広がりをもつことが家庭科の授業の特質とすれば、今学校現場で多くの家庭科の教師が、厳しい管理状況のなかで、すこしでもより良い授業をとがんばっているものが、根津さん同様すべて「指導力不足」にひっかかってしまいます。家庭科の受難の時代が既に始まっていると強く感じています。

いつもメールで情報を送りっぱなしなので、特に現場の家庭科教師の方はどのような感想をお持ちなのかおしらせ下さい。勿論教師でない方の感想もお待ちしてます。
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