日の丸・君が代完全実施へ「職務命令」 事実上の強制

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 卒業式での日の丸掲揚・君が代斉唱をめぐり、「完全実施」されていない地域で、教育委員会が地方公務員法上の「職務命令」を校長に出して実施を求める例が増えている。

従わない場合は懲戒処分も予想される措置だ

全国の実施率をみると、昨春は小、中学校、高校のすべてで初めて9割を超え、今春はさらに上昇しそうだ。

政府は国旗・国歌法の法案審議時に「卒業式などで強制しない」という見解を示したが、実際には完全実施に向けて事実上の強制力が働いていることを示している


 文部科学省の調べや朝日新聞社の取材では、現在までに札幌市、千葉県、東京都国立市、神奈川県、北九州市の各教育委員会が今年の卒業式に向けて校長に職務命令を出したか、出す予定。1986年度から毎年出している北九州市を除けば、いずれも「日の丸・君が代」の実施率が100%に達しなかった地域で、職務命令の発令は初めて。

 札幌市は昨年9月、市立学校の全校長に文書で職務命令を出した。「国旗は式場の正面に」などと指示している。東京都国立市も市立小中学校11校の全校長に「学習指導要領に基づき適正に実施」するよう求める通達を出して命令した。

 神奈川県は、昨春の入学式で全日制県立高校では唯一君が代斉唱をしなかった高校の校長に対し、今月3日の卒業式当日に文書で職務命令を出した。式では君が代斉唱が行われた。6日現在、同県内の全日制県立高校での斉唱率は100%になっているという。千葉県も、入学式で君が代斉唱を行わなかった県立7高校の校長に命令を出した。

 このほか、新潟県教委高校教育課は研修などで高校長を指導する際に「職務命令と受け取ってもらって構わない」と話しているという。東京都教委は全都立高校長に昨年度初めて出した「通達」に今年も従うよう通知した。通達文には「命令を伝える文書としての性格」があるといい、文部科学省は「職務命令と同等」ととらえている。

2001年3月7日朝日新聞

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