オウム事件から学ぶべき事

 

 オウム事件には人間の持つ非常に大きな弱点が示されていると思う。

 この事件から私達が学ばねばならないのは、知性も理性も兼ね備えた人達が、なぜ、どのようにして無差別大量殺人を犯すまでに洗脳されてしまったか、ということである。

 これはオウムだけに起きた特異な現象ではなく、時には国家のレベルで人類が繰り返してきた現象だと思う。

 どのようにして人は洗脳されるのか、これを研究、解明して、その知識を多くの人が持つことで、人は自分が洗脳されることから免れることが出来ると思う。洗脳の予防と、どのようにして洗脳を解くかが研究されなければならない。

 国家権力は国民をコントロールする対象として見るならば、この知識を国民に知らせたがらないであろう。

 しかしこれからの国家は、国民が強いリーダーに従うことで得られるメリット、効率の良さよりも、その結果生じる全体主義的現象による失敗を排除するべく備えるべきだと思う。その方が長い目で見れば国は安全であり得る。

 リーダーに盲従するのではなく、常に国民一人一人が事態を冷静に判断する事が出来る能力を高める、それがこれからもとめられる真の民主主義、言い換えれば人類が生き残る方法なのだろうと思う。

 被害者の恨みを晴らすために被告を死刑にしても社会にとって何も得るものはない。そうではなく、同様のことが将来起きることを防ぐために、開かれた機関において、被告の人格、性格、能力、オウムの機構、何がどのようにしてなされ、人がどのようにして変わったか、などについて徹底した研究が行われ、その結果が公表されるべきだと思う。

                                                        2003.3.1