平成22年(ネオ)第1031号 
上告申立て事件  
 
上告理由書
 
                       2011年 3月1日
 
 
東京高等裁判所第4民事部
              御中
 
 
 
 申立人  田 中 哲 朗
 
193-0429 東京都八王子市椚田町1214−1−707 
               電話042-664-5602         
 
 
 
 
 被申立人 篠塚勝正
 東京都文京区小石川4丁目16番13−1008号
 
 被申立人 沖 電 気 工 業 株 式 会 社
105-0003東京都港区西新橋3-16-11(電話: 03-5403-1211 大代表)
 
代表者 代表取締役 川崎 秀一
 
                      
1、原判決は本事件の最も重大な事実に関して判断を回避している不当なものである。このような裁判は憲法によって保障されている国民が公平な裁判を受ける権利を侵害していると言わざるを得ない。従って差し戻されるべきである。
 
2,(1)この裁判の焦点、すなわち申立人が控訴趣意書で紙面を費やし、理由を明確に示し念を押して指摘したのは、被告が株主である申立人の質問に対し「必要な説明」を行っていないということである。
 この裁判の訴えの理由、被告が申立人を暴力を用いて排除したことが違法であるかいなかは、このことにかかっていることは言うまでもないので念を押して主張したのである。
 
「福岡高等裁判所にて 審理中であった本件工事に関する訴訟において,平成20年6月19日,由布市が披控訴人会社に対して1278万5714円の損害賠償を請求せよとの判決が言い渡され,由布市と協議の上今後の手続を検討して参りたい」
 
 被告の行ったこの答弁では、株主にはどんな「訴訟」なのか分からない。談合という犯罪行為を犯していながら、「談合」という言葉は一切使わず、釈明は一切ない。「由布市と協議」では株主が持っている共通の疑問、何の訴訟なのか。談合と言う人がいるが、本当に談合を行ったのか、誰がなぜしたのか、また同じことが起きないのか、などに全く答えていない。これらは会社法第三百十四条に違反していることは言うまでもない。
 
 ところが判決は何の理由も述べずに「必要な説明を行った」としているのである。
 
 理由を述べず結論だけ主張するのは小学生の作文といわれてもしかたがない。裁判所は理由を示さなければならないのに不当にも回避したのである。
 
(2)また判決は重大な事実誤認の上にかかれている。すなわち
 
A以上の認定事実に基づいて検討するに,被控訴人会社の取締役は,控訴人から事前に提出された質問状に係る由布市の防災行政無線工事の件に関する一括回答方式により必要な説明を行っており,・・・
 としているが「事前に提出された質問状」は申立人から出されたものではない。「控訴人が事前質問状を提出した」などとは被告さえも主張していない。事実誤認も甚だしい。
 
 原判決は「被告は申立人の質問に十分答えた」という先入観を持ってなされていることを明確に示すものである。
 
(3)このように原判決はその具体的事実さえ正しく認識しておらず、回避してはならない判断を回避している不当なものなので差し戻されるべきである。
 
3 控訴趣意書で述べた「大企業に偏った裁判官の姿勢」の抜粋および、控訴準備書面を引用する。
 
(1)以上述べたように原判決は理由にならない理由や事実を歪曲することで被控訴人を擁護した不当なものである。
 仮にテレビのワイドショーでこの判決が取り上げられたとしたらどうだろうか。コメンテーター達は裁判官に「談合をした会社の答弁はこれで説明責任を果たしているのか」と聞くであろう。「株主がさらなる答弁を求めることは当然ではないのか」と聞くであろう。
 それら質問に佐藤道明裁判官はコメンテーター達を納得させるどのような説明が出来るであろうか。原判決にはそれに相当するものは示されていない。
 
(2)このような不当な判決、すなわち、重要な事実を一方の側に偏って判断する、示されている重要な事実にわざと言及しない、などは、これまで控訴人が行ってきた多くの裁判の中のみならず、市民が大企業や、国家権力を相手とした多くの裁判で見られる。
 
(3)大企業や国家権力を相手とした裁判で市民側を勝訴させると、この裁判官は出世出来ない、地方の裁判所に飛ばされる等の指摘が見られる。  また退任後大企業の顧問弁護士になる裁判官も少なくないので大企業に不利な判決は書きたがらないのだという指摘もある。
   また高裁は地裁の判決を守ろうとするとも言われている。権威を守る姿勢を取ると言われている。言うまでもなくこれらは裁判官が本来あるべき社会正義の実現ではない。
 
(5)裁判官が理不尽な判決を書いてはばからない理由の一つは、それが社会的に検証されないからであろう。
 裁判をチェックするシステムとして現在弾劾裁判所、最高裁判所裁判官に対する国民投票があるが事実上全く機能していない。
 マスコミで、判決の内容が議論される裁判は極わずかであり、理不尽な判決であって殆どが誰からもとがめられらないのが現実である。もし多くの国民が知り、考える状況があるならば、原判決などはとうていそれに耐えうるものではない。
   
 
控訴準備書面よりの抜粋
(1)控訴人は、これまで行った多くの裁判の中で上記人権侵害について指摘してきた。しかし裁判所がこの事実を受け止め対応を取ったことはない。違法行為があれば公務員はそれを指摘し、たださねばならないという法律に違反する姿勢である。ましてや裁判官という法と正義を率先して守るべき立場にあるものがこれを、すなわち深刻な人権侵害が続いていることを看過することは、許されることではない。
 
(3)控訴人はいつか「理不尽な判決集」と言う本が出版されるべきだと考えている。事実を無視し、一方に偏った判決の例を裁判官の実名とともに示し検証する内容の本である。
 
              
4、終わりに
 裁判員制度が導入された理由は裁判官の多くが国民とかけ離れた感覚を持っている為である。本判決も、国民に分かりやすい裁判をしようという気持ちが裁判官に微塵もないことを示していると言わざるを得ない。
 
 将来この判決がマスコミで取り上げられるようなことがあったとき、裁判官には「だってほかの裁判官もみんなもそうだった」などと今時の不心得者がするようないいわけをして欲しくないものである。
 
 日本には裁判所をチェックするシステムとして弾劾裁判所、最高裁判所裁判官に対する国民投票があるが全く機能していない。企業や権力を相手とした裁判の判決を抜粋し、選挙で選ばれた委員が審査する。政治、社会運動がらみの刑事事件も、逮捕状、訴訟指揮も含め審査する。などのシステムが必要だと私は思う。
 
 最高裁の裁判官は書面に目を通さない。事務官が判断するとさえも言われている。本書面が心ある裁判官の目にとまることを祈り、裁判官の猛省を望む。
 
以上



一太郎文書