1 音響(自分一人しか演奏者がいない場合に特に問題になる。)
(1) マイクを使う場合は事前に自分で確認する。
初対面の会場の音響係を信用しすぎない。腕のある人に出くわせばよいが、音響が悪く、終わってから演奏が全部台無しだった(聞こえてなかった)と分かる場合がある。(お客が「聞こえないよ」と言ってくれるとは限らない)「自称音響マニア」が最も危険。
@ スピーカーをハウらせない。
A 音が小さすぎない。(お客にちゃんと聞こえる)
B 大きすぎない。(お客にうるさいと思わせない)
C 客を待たせない。
これらは、演奏を成功させるための音響に不可欠なことであるが、「音質云々」にばかりこだわって、この基本中の基本が出来ない「音響係」が存在するので注意すること。
(2) 本番のとき、演奏している本人には、客にどう聞こえているか正確に判断できない場合が多い。
出来る限り信頼できる人にモニターしてもらうことが望ましい。演奏中にその人にOKのサインを送ってもらうよう頼んでおく。
2 照明
(1) ギターのナイロン弦は照明の温度で狂う。
控え室でいくら正確にチューニングしてもステージの温度が控え室と違う場合(照明のため高いことが多い)狂ってしまう。高音弦3本、特に3弦が半端じゃなく狂う。(高くなる)
チューニングはステージの袖でかならずし直す。
また私は強い照明を自分(楽器)に当てないようにいつも照明さんに頼む。
(2) 楽譜が読めるか。(顔にライトが当たると楽譜が読めなくなることがあるので注意)
3 楽器のトラブル(弦切れ)
(1) 出来れば予備の楽器を用意する。
(2) 古い弦を持っていく。ナイロン弦の場合、新しい弦は音が下がり続けるのでその場では使い物にならない。スチール弦は新品でOK。
弦が古くなると張り替えるがそのとき古い弦を捨てずに取っておく。早めに弦を張り替えて、演奏会用の「中古の弦」を作っておくと、音も下がらないし(それでも下がるが)音の質も良い。
また、その場で弦を張り替えた場合、一度1音か1音半くらい高くして待つと収まりが早い。(トークで間を持たせられるといいですね)
(3) 普段から素早く弦を張る練習をしておく。(素人が初めてやると一本15分かかることもある。)(6本だと1時間半。客はいなくなる。)
4 あがらない為には。
(1) 場慣れが一番。なるべく多くの機会を作って人前での演奏経験を積む。
(2) 練習を十分して、「失敗するわけがない」と思えるまで自信をつける。
お勧めは演奏を録音すること。ラジカセでかまわないから録音してみる。それだけでプレッシャーがかかり、本番に近い精神状態が作れる。
録音を聞き直してみると多分自分の下手さ加減が分かってがっかりすると思う。弾いているときは演奏することに気を取られ、自分の演奏は意外に聞こえていないものである。録音を聞くと演奏のアラ、改善すべき点がはっきり分かる。録音がなんとか聞けるほどのものになれば、相当力が付いていると言って良いと思う。
(3) 下見をする。ステージに立ってみる。出来れば演奏してみる。
ステージ慣れしていない人がステージに立つと、まず視覚的にびっくりして、あがることが多い。たとえば照明が自分にあたると客席が真っ暗に見える。どのようにまわりが見えるか確かめておくと本番のとき動揺しない。
また、ステージの上では自分の演奏が小さく聞こえることが多い。マイクを使わない場合など特にそうである。
マイクを使っても「返しのスピーカー」が無い場合など自分の音が聞こえづらい場合がある。
控え室などでは自分の音が大きく聞こえていたのに、ステージだとまるで聞こえ方が違って非常に弾きづらい場合が多い。あらかじめ演奏して慣れ、心構えしておくと効果がある。
ただし、客席に人が入るとリハーサルの時より音は聞こえづらくなることを知っておくこと。人が音を吸収してしまう現象が起きる。「本番のときはこれより聞こえなくなるぞ。」と思いながら練習しておく。
また、無人の時にはマイクが必要ないと思われる小さめの会場でも、人が入ると、お客に音が聞こえなくなることを計算してマイクの使用を決めるべきである。