東京都品川区の若月秀夫教育長らが議会答弁で、卒業式の「国家斉唱」で起立しない来賓は「招待しない」との方針を表明した。
野党議員らは「子どもたちの卒業式を祝おうとする地域の人々を思想信条で差別し、君が代を強制するものだ」と反発している。
発言があったのは22日午後の予算特別委員会。「卒業式の国家斉唱で立たない人がいる。そういう人は招待すべきでないのではないか」との自民党議員の質問に対し、区教委の指導課長が「式も指導の場。立たない人を(児童、生徒に)見せるのは好ましくない。来賓にも式のやりかたに従っていただけるよう協力を求める。従っていただけない場合は招待しない」と答弁した。
これに対して来賓として地元の小中学校の式典に出席しながら「国家斉唱」でも起立してこなかった船波恵子議員(社民)が「国旗国歌法制定時も強制しないとされていた。地域の一員として子どもたちの卒業式などを祝いたいという人を心の中で何を信じているのかで排除していいのか」とただした。
若月教育長は「結婚式でも従わない人は招待しない。それと同じだ」と述べた。
品川区では管内58の小中学校の卒業式や入学式に地元の議員らを招待している。
今年度の卒業式は23日までにすべて終了し混乱はなかったが、入学式での対応があらためて問題になりそう
だ。
朝日新聞 2001年3月24日夕刊
いよいよここまで来たか、という気がする。日の丸君が代が、権力に対する忠誠心の踏み絵として、教員だけでなく、国民全体に突きつけられている。
この重大事に対し、社会の反応が鈍いことが恐ろしさを加える。