苦情申し出書

東京都公安委員会御中


 貴委員会におかれましては、日本の正義と社会秩序を守るため日夜御奮闘のことと存じます。
 さて私、2002年6月27日午前10時より午後1時30分にかけて東京都港区芝浦4-10-3沖電気工業株式会社本店別館において行われた、同社の株主総会に株主として出席した者です。
 上記株主総会に警視庁三田警察署より派遣され臨席した警察官の行動、および、同年8月17日その事に関して私が同署に行った申し入れに対する警察官の対応について苦情申立をしたく、ご調査ご回答よろしくお願いします。

 具体的不利益の内容。
 沖電気工業株式会社の警備員が一般株主を暴力をもって株主総会会場から排除する行為を警察官が臨席していながら看過したため、警備員の暴力行為を増長させ、株主として株主総会に出席する権利、発言、採決を求める権利が侵害された。この暴力により肉体的苦痛を与えられ、負傷が悪化した。

 不満の内容
 公平中立であるべき株主総会に臨席した警察官が会社に偏った対応を取った。これは私のみではなく株主総会に出席した一般株主に警察官の存在が畏怖の念を起こさせるものである。

 また上記事件に関して行った申し入れに対し、三田警察署の暴力団対策係長は虚偽の回答をし、責任の回避を図った。

 これらの対応は、広く社会に警察と企業とが癒着しているかの印象を与え、警察の信用を著しく失墜せしめるものである。


 経過の説明
 上記株主総会において私は、「株主総会集中日に総会を開くべきではない」という提案を行い採決を要求しましたところ、社長は採決を行う必要がないと申しますので、採決を行わない理由を述べるよう要求しましたところ、社長はそれすら拒否しました。
 これは商法によって保障されている株主の権利を無視する不当な議事運営だから認められないと発言していたところ、社長は議長の議事運営権を理由に警備員に命じて私を会場から暴力的に排除しました。

昨年の総会でも、私が「社員株主による議事打ち切り動議による閉会」を行うべきでないと主張しましたところ、会社は暴力を使って私を排除しました。
 私は今年3月、肩を負傷し、現在も整形外科に通院して治療を受けています。今回私は昨年と同じ事が起きれば危険だと予測し、医師の診断書を持参しました。警備員が私に暴力をふるい始めた際、それを示して、暴力を行使しないよう要求しました。それでも数名の警備員は私の腕をねじ上げました。その際患部に非常な苦痛を伴い負傷も悪化しました。

 議長は総会の冒頭、警察官の臨席を宣言しておりましたので、警官がいるので在れば、この暴力を止めてくれるよう私は発声しましたが、警察官はなにもしませんでした。


 会社は警察官を招請する際、私が沖電気を解雇されている人間であり、私が総会において毎年発言している内容は、沖電気の職場で人権侵害が続いている等、事実無根であると報告したと推測します。

 確かに私は沖電気の職場で続いている人権侵害を労働組合の役員選挙に立候補するなどして批判する行動を続けておりました為「配転命令を拒否した」という理由で1981年に解雇され、これを不当として提訴し、最高裁で敗訴しました。
 しかし裁判所が認定した事実は「私に出された配転命令は業務上の必要性があり、それを拒否した私に対する解雇は有効」というものにすぎません。
 私が毎年総会において会社に改善を要求している人権侵害の事実は、私の裁判の中で多くの証人が自ら受けた差別の体験を証言し、陳述書も提出されているものであり、裁判所はこれを否定してはいません。

 現に1991年沖電気本庄工場の真喜志(まきし)晃さんが起こした仕事差別裁判において浦和地裁は差別の存在を認める決定を下しています。
平成3年(ヨ)第87号職種変更等仮処分申立事件

 私が改善するよう主張しております職場での人権侵害は、裁判所さえもが認めた事実です。
  付け加えますならば、企業の中に人権侵害が存在する事実は「リストラ」という言葉と共に社会一般に知られるところとなっています。

 私が行っております企業内の人権侵害を正す運動は、多くの人の共感を呼び、これまで何度かマスコミでも報道されております。その中には自由民主党、前政調会長の亀井静香氏が、私の会社に対する抗議行動の現場に参加し、私に共感する発言を行ったものを掲載したものも有ります。

 本題に戻りますならば、上記総会において私は「株主総会開催期日を総会集中日に行うべきではない」という、株主としては一般的で、当然認められるべき提案を行い、その事の採決を求めていたものであり、会社の主張する「目的事項に合わない発言」では無いことは警察官にも判断できたはずです。

 現に暴力が行使されている場合、それを取り締まるのであれば、警察官の臨席は正当化されると思います。しかし沖電気の場合、暴力を行使しているのは会社側であって、株主は一切暴力は行使していません。 私は15年間、毎年沖電気の株主総会に出席しておりますが、私の知る限りこれまで一度も株主による暴力や、役員の机を叩く蹴るなどの威嚇行為等は一切起きておりません。

 もし警察官が株主総会に会社の招請によって臨席したうえで、正当な発言を行う株主に対しての会社の暴力行為を看過するのであれば、一般株主にとって警察官の存在は、会社によって雇われた与党総会屋、暴力団と同じに映り、本件のように会社が暴力行為を行った場合でも警察官に対する畏怖の念によりそれをたしなめる事が困難になると思われます。

 このような事態は警察の信用を著しく失墜することだと思いますので、御考察をお願い致す次第です。
 

 また本年8月13日、三田警察署暴力団対策係長新山氏に本件に関して電話で事情を説明した上で8月17日、三田警察署長宛ての申し入れ書を持参し(別紙)三田署へ申し入れを行いました。

 これに対し、新山氏は3日前に私が電話で趣旨を説明した上で申し入れに行ったのにもかかわらず、「臨席した警察官から報告を受けていないので事情が分からない。調査し後日電話で答える」と答えました。3日の間に当該警察官から事情を聴取しておくことが自然であり、報告を受けていないとの回答は信じがたいものと言わざるを得ません。

 新山氏は申し入れ書の受け取りを渋るなど当初より本件に消極的な姿勢を示しました。また「ずっと昔から沖電気の株主総会に三田署から警察官を派遣している」と明らかに虚偽の発言を行いました。(本店別館での総会は昨年より、それ以前は愛宕署管轄の本店)

  新山氏は8月27日私の電話での問い合わせに(それまで数回連絡したが休暇等の理由で連絡が付かなかった)「当日沖電気の株主総会に臨席した警察官は、総会開会時には臨席していたが、何も起きそうにないので上記事件が起きた時すでに他社の株主総会臨席のため移動していた。だから事件を目撃していないと言っている。」と回答しました。

 しかしこれは問題を曖昧なものにし責任を回避するための嘘としか考えられません。

 なぜならば上記総会の冒頭(議事が始まる直前午前9時59分より10時01分)に支援者と私が、「昨年のような暴力を行使しないで欲しい」と会社に要求する発言をしましたところ、それを制止しようとする会社の警備員が私を取り囲んで暴力で排除しようとし「大混乱」寸前の状況が発生しております。

 この状況から「当該警察官は何も起こりそうにないと判断して他社の株主総会臨席のため移動していた為臨席していなかった」とする主張はとうてい信用できるものではありません。

 もしこの主張を信用するならば、緊迫した状況から現場を離れた行為について責任が問われるべきものであり。その説明が求められます。

 一方暴力団対策係長新山氏は今後の株主総会についての私の質問に「会社の議事運営権を認め物理的力を持って株主を排除することを認める」と発言しています。これは
商法237条の4
 「議長は其の命に従わざる者其の他の総会の秩序を乱す者を退場せしむことを得」

に基づいた会社の主張と同じ判断をしたものであると推測します。

しかし憲法には
第31条 法定手続きの保障
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

第33条 逮捕に対する保障
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
(逮捕=人の身体に直接に力を加えてその行動の自由を奪うこと。 広辞苑)

とありますから商法に基づいた議長の議事運営権は、正当な発言を行う株主を、(憲法第31条、33条を犯して)暴力で排除する事まで認めているものではないと判断すべきです。
 そうで無ければ会社の不正を指摘するなど、会社にとって都合の悪い発言をする株主はすべて会場から暴力をもって追い出す事が正当化されてしまいます。

 本総会に於いて沖電気警備員が私に対して行った行為はまさに上記「逮捕」であります。

「会社の議事運営権を認め、物理的力を持って株主を排除することを認める」との暴力団対策係長新山氏の見解は違憲であると言わざるを得ません。

 また基本的に、紛糾する株主総会での発言や議事運営に正当性があるかどうかを判断するのは裁判所の行うところであり、警察官の役目ではないと思います。

 以上、警察官が暴力行為を防止する目的で臨席するのであれば、会社、株主を問わず一切の暴力を取り締まるべきであることは論を待たないもので在ります。


 以下ご確認、ご調査頂ければ幸いです。
@  株主総会当初は臨席した警察官が、他社の株主総会の為移動したため、当該事件の際、総会会場にいなかったという、三田署暴力団対策係長の報告は事実か。
A  事実であるならば、総会冒頭、沖電気警備員による、株主の暴力的排除が起きる可能性のあった緊迫した状況を目撃していたはずであるにもかかわらず、「この後何も起こりそうにない」と判断した理由は何か。職務の放棄ではないのか。
B  当該事件の際、臨席していたのであれば会社の暴力による株主の排除を止めなかった理由は何か。会社の暴力が正当だと判断されたのであればその根拠は何か。
C  暴力行為を抑止する事が目的で在れば、警察官の存在を示すべきであるにもかかわらず、制服ではなく私服で臨席した理由は何か。
D  今後、株主総会に臨席した警察官は、会社が株主を暴力で排除する行為を看過するのか。そうであるならばその理由は何か。
                 以上


 なお、ここに主張しました事実関係、株主総会の状況、および、新山係長の発言共に録音等の記録が存在し、事実であることを証明できること、また私は沖電気工業株式会社を本総会の議決無効、損害賠償請求で提訴することを申し添えます。



2002年9月26日

〒193-0942八王子市椚田町1214.1.707  рO426(64)5602


氏名   田中哲朗       印


苦情処理結果通知書


公安委員会への再回答の要求書