田中式トレモロ理論

以下に示した練習法は「説明しすぎだ。これでは金を払って教わる必要がない。」と言われます。それでも自分の弱点はなかなか自覚できないもの。
ワンポイントの指摘で劇的に上達する人は少なくありません。

交通便利  圏央道 高尾山 ICより 5分 無料駐車場あり 地図
京王線狭間駅
(次は高尾駅)より徒歩5分(イトウヨーカドウより2分)

トレモロのスピード練習法 2008.7.27追加
ビデオ映像
@ トレモロの説明

A 指が回らない例

B 回すとかたまる例

C 弦にさわっている時間が長いので音がのびきれない例

D 2弦のトレモロ

E 左指の移動とトレモロのタイミング
 

F 左指の移動が早すぎるので音のつながりが悪い例


G 指は回っているがばらつきがある例


トレモロをなめらかに演奏するには p (親指) a (薬指) m (中指) i (人差し指) で出す音の

@ 時間的間隔が正確にそろっている。

A 大きさが均一である。(特にa m i )  

B 質、音色がそろっている。(特にa m i )

事が要求される。

そしてそれが

C 一定以上の速度で演奏されるとなめらかなトレモロが実現する。

ここまでは一般に認識されていることであると思う。


私が生徒さんに指摘することは以下の点である。

@ トレモロの指の速度はそれほど速くない。それぞれの指を猛烈な速さで動かすのではなく、すべての指が休まず一斉に動いている状態を作り出す。

私はこれを「指を回す」と表現している。トレモロのどれか一つの指に注目すると、それほど速く動いていないことが分かる。

ビデオ@ を見て下さい。たとえば人差し指だけを見ていて下さい)

それほど速く動いていないが、常に動き続けており、止まっている時間がない。

速く演奏出来ない人は、指の速度が遅いのではなく、一つの指が動いている間他の指が止まって「待っている」状態がある。

自転車をこぐときは右足をこぎ終わってから左足をこぐのではない。四本の指で4つのペダルをこいでいることをイメージして欲しい。

また、回り始めると時間的間隔が一定でなくなる(固まってしまう)ことが起きる。

ビデオA は、もう少しで回りそうだが回っていない例。)

ビデオB は、回りはじめているのだが、固まってしまう例。)

どちらもゆっくりのときは間隔も大きさもそろっているのだが。

これは指が独立して動いていないために起こる。それぞれの指は他の指に影響されずに動かなければならない。

中指と人差し指が薬指に「ついて行く」動作にならないようにする。

一つのコントローラーで4つの指を動かすのではなく、それぞれの指に独立したコントローラーがついていて、それを集中制御するイメージを持って欲しい。

A 指の動きは等速度ではなく、弦に当たる瞬間が速い。

しかしペダルこぎと異なる点は、それぞれの指を等速度で動かすのではなく、弦に当たる瞬間を最も速くすることである。

振り子がふれるとき一番下に来たときが一番速いこと、バットでボールを打つとき、ボールを打つ瞬間が一番速いことをイメージして欲しい。

等速度でトレモロをすると、指は回っても弦を「はじく」のではなく「なでる」状態になる。その結果、音がのびない、スタッカートのトレモロになってしまう。

ビデオCの生徒さんは良く指が回っていますが、指が弦にさわっている時間がわずかに長いため音を止めている。これを改善すると、もっとトレモロの音がのびて聞こえるようになる。)

指が弦にさわっている時間(アタック)を極力ゼロにするイメージを持って欲しい。

そのために左指の動作はなるべく大きくすることが求められる。(なるべく弦の遠くからアタックする。)(命中しないのではないかという恐怖心が伴うが)

(ビデオG の生徒さんも指は良く回っていますし、音ものびています。音の大きさのばらつき、指のひっかかりを直すともっと良くなります。)

さらに付け加えると

B 耳は親指の音ではなくトレモロの音を追う。

トレモロの曲は親指の音の方が動きが大きいため、親指の音に気を取られがちになる。

トレモロの音を連続性のあるメロディーとして出すには、耳はトレモロの音を追い、心でトレモロのメロディーを歌う。

C 音がつながらない場合は左手の移動が早すぎる場合が多い。

ビデオF の生徒さんは相当完成度の高い人だが、左指の移動がわずかに早すぎるので、トレモロの最後の音(人差し指の音)が途中で止まっている。これを改めるとトレモロのつながりがもっと良くなる)

ビデオE と比較して下さい。(私のこの演奏もあまりよくありませんが)

人差し指の音を弾き終わり、次の親指の音を弾く瞬間まで押さえた指をはなさない。


アルハンブラの想い出 簡単奏法

二本指アルハンブラ
アルハンブラの想い出は多くの人が目標にするトレモロの名曲である。
しかしトレモロがうまく出来ないために演奏がきわめて困難だと思われている。
左手は出来るのだが、トレモロがうまくいかないために涙をのんであきらめている人は多いのではないか。

私は、この曲はトレモロではなくても演奏できることを発見した。
3つあるトレモロの音を一つにしてしまうのである。
親指と人差し指だけの演奏になる。

信じられないと思うが、この曲の魅力はそれほどそこなわれないので試して欲しい。

音楽は曲芸ではない

指が早く動くことばかりを追い求める人が多い、演奏が難しい曲が高級な曲だと誤解する人もいる。
良い音楽とは・・・・・・? 言うまでもない。

You-tube演奏



トレモロが速かったころの私の演奏 180以上で弾いている
1983年の私の演奏 めじろ台会館にて

2003年4月25日の演奏
トレモロ練習曲集

以上 著作権を主張します。 2007.3.10  田中哲朗